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プロッターか、パンツァーか。

ちょくちょく見かけるこの言葉。
調べてみると。

プロッターは、プロットをガッツリ作って計画的に書くタイプ。
パンツァーは、プロットなしで勘を頼りに書くタイプ。
……だそうで。

ちなみに、どちらが良いとかそういうものではない。
書きやすいほうでいくのがいいと思う。
向き不向きってあるからねえ。

ちなみに私は、昔はゴリゴリのパンツァーで、「プロット? なにそれおいしいの?」というタイプで、思いついたら勢いだけで書いていた。

だけど、「読んだ人に驚いてほしい」という気持ちが強くなると、パンツァースタイルではいけなくなった。

なので、メモを取るようになった。
大まかなあらすじで、大体三行くらい。
それが、私がコバルト短編に応募し始めた頃の方法だった。
もう8,9年前か。

ショートショートや短編ならともかく、中編を書くとなると、プロットなしはキツくなった。
自分が先に物語を把握していないと、どの辺で中盤になるのか、どの辺でクライマックスがくるのか、この辺でそろそろあのシーンを出そう、みたいな書き方ができない。

だから、私はプロットを書くようになった。
とはいっても、起承転結の簡単な流れ、程度。
でも、三行よりは増えた。でも、本当に数行程度。

少ないとはいえ、プロットを書くようになってからは本文が書きやすくなった。
「このあとの展開ってどうだっけ?」とよく忘れてしまう。
なので、プロットを読み返せば「ああ、そうだった」と思い出せるのである。

とっとと成仏してください!②を書くにあたって、担当さんに「②のプロットを見せてください」と言われた。

なのでちゃんとプロットを書いた。
「後でなんとかする」とか「ここは盛り上げる」みたいな書き方はできない。
全身全霊を注いだ。

プロットを読んだ担当さんは「いいですね!」と褒めてくれたが、なんとなく不安が残る反応だった。
だけど、プロットは少し修正するだけでそのまま本文に取り掛かった。

初稿は非常に褒めてもらえた。
担当さんいわく「③からは、プロットなしでいいですよ!」と言われた。
プロットよりも、初稿のほうが断然おもしろい、そうだ。

うれしい言葉だけど、そこまでダメなプロット書いちゃう自分ってどうなのよ? とは思った。
ちなみに、②はプロット通りに書いているので、プロットが根本から良くなかったとかではない。
②のプロットを提出後に、担当さんと色々と電話で話したので、大体の話の筋も伝わっているし。

私はとにかくプロットを面白く書けない人間、ということだ。
早く本文を書きたいという気持ちが強いので、どうしても義務的になる。
自分が楽しくないと、文章にその感情が強めに出るんだろうなあ。

だからこそ、とっとと成仏してください!はストレスフリーどころか、めちゃくちゃ楽しく書けている。
こんな私を信頼して、プロットなしで書かせてくれる担当さんには、感謝しかない。

ちなみに、プロットなしといっても、大まかなあらすじは担当さんに提出している。大体3000文字くらいだろうか。
そして、自分用のプロットもつくっている。
OKが出たあらすじに、自分用のメモを付け足していくだけなので、3000文字からそこまで増えないけど。

それが完成すれば書きだせるわけではない。
頭の中に大まかな流れが見えないと書けないのだ。
冒頭、小イベントや中イベント、さらにクライマックス、オチ。
この辺が映像として見えないと書きだせない。

だから、映像で見えてくるまで頑張る。
ひたすら考えて、インプットして、刺激を与えて、考えるしかない。

ようやく脳内映像で見えてくると、書き始める。
でも得意の「賽の河原での石積み」が待っている。
つまり、書き進めても、大体は0から戻るのだ。

あと、私は脳内映像を文字に起こす、というタイプの書き方をする。
だから、説明や描写が足りなくなりがちなんだけど……。
映像が見えないと書けないので、映像が見えなくなると書けなくなる。

プロットの段階で既に脳内映像で見えている、イベント、クライマックス、オチなどはメモしてあるんだけど。
でも、そのつなぎ目のシーンは、書いている最中に想像する。
この辺は完全なパンツァーだった頃の名残りなのかもしれない。

あれ?
ここまで書いてて思ったけど、今も特にプロッターの要素ないな?
ノープロットじゃなくなって、プロットの文字数が少し増えたくらいで、プロッターとはいえない。だって無計画だし……。

何度かプロットをちゃんと書こうとしたこともある。
だけど、プロットでは自分が物語を把握できない。
自分が書いてるのになんで?

だから、プロットを書くよりも一度、初稿をかきあげて修正したほうが断然いい。
だって書き上げてるから物語を把握できている。
賽の河原での石積も、自分が物語を把握するための行為なのかもな。

ちなみに、夫にアイデアを聞いてもらう時は口頭だ。
担当さんにプロットの詳細を話す時も電話だ。
会話のほうが、テンションとかが伝わるから。

そう思うと、プロットでこのシーンはテンションがハイかローか、シリアスなシーンなのか、それともゆるいのか、シリアスに見せかけてコメディシーンも混ざるのか、もしくは逆なのか。
そういうのを伝えるのは難しい。

だって、私、プロット書いてる時ってめちゃくちゃ平常心だからなあ。
本文を書き始めるとハイというか、そのシーンに合った感情になれる。

プロット、ちゃんと書けないとダメなのかなあ。
ずっとそう思いつつ、結局はパンツァーでここまできてしまった。
後はもう、パンツァーとして突っ切るしかない。

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