ラスボスから感想をもらう。

夫は、本を読むのが好きだ。
最近、夫が所持する本が、本専用の部屋から溢れまくってどうしたらいいかわからない。

そんな夫は、5,6年ぐらい前まで応募前の小説を読んでくれていた。
そして、夫の感想を元に修正したり、ボツにしたりして、それから応募をしていたのだ。
しかし、夫に読んでもらうというのはありがたい反面、夫の時間をつかう。
私も、応募前に夫に読んでもらいジャッジを求めていると、〆のかなり前から書かなければいけない(ワガママである)

そのため、私は5,6年前を機に脱夫を宣言。
「もう応募して落選したら、それでダメってわかるし、応募すればいいだけのこと」というスタンスでやっていくことにした。

それからは夫を経由しなくなったので、あちこちに応募するようになり、落選も増えたがたまーーーーーーに賞をもらったり、通過をするようになったりした。
しかし、その反面、夫を経由しないから時間がかからなくなったので、〆ギリギリまで書かなくなった。

ちなみに今でもアイデアを閃いた時、夫に口頭でアイデアを説明し「これ面白そう?」と聞くことはある。
ちなみに、「成仏しましょう!」(とっとと成仏してください!の応募時のタイトル)を書く前に、夫にアイデアを説明したら、「面白そうだね」と言ってくれた。

そんな夫、非常に辛口である。
面白い時は「面白い」と言ってくれるが、面白くなかった時が非常に痛いところを突いてくる。
だから、読んでもらうのをやめたという理由もあるくらいだ。
面白くない、という意見はいらないというよりは、夫の批評がキツイ。
私の中で、夫はラスボスである。

そんなわけで、ここ数年はラスボスである夫に小説を読んでもらうことはなく、夫が気が向いた時に応募作や受賞作を読むだけだ。
その時に私からあまり感想を聞かないようにしている。
しかし、夫は感想を言いたがる。
まあ、読んだら言いたくなるよね。

とっとと成仏してください!①も夫は読んで感想をくれた。
でも、事前に「成仏しましょう!」も読んで感想をもらっていたので、あまりその時の感想とちがわない。
ただ、大きくちがったのは、夫いわく「書籍になったほうが展開がおもしろかった」だそうだ。
なるほど。やっぱり自分一人で書いている時には気づけないことが多い。

不安なのは二巻である。
なぜ、不安なのかというと、夫は恋愛小説を読まない。
ラノベとかのラブコメとか、漫画のラブコメは読むけれど、男性向けだったり少年誌だったりする。
少女漫画・少女小説の恋愛ものは、読んでみたけど合わなかったと言っていた。

二巻は、表紙やあらすじにある通り、一巻よりも恋愛色は強い。
大丈夫かな~と思いつつ、夫は二巻を読んだ。
読んでいる途中で、「玲香、大丈夫なの?」と不安そうに聞いてきた。
なにが?!
怖すぎて、聞き返せなかった。

私だけが不穏な空気のまま、夫は二巻を読み終える。
「そうか。俺、初めて女の子の一人称のラブコメ読んだ」と言っていた。
そして、「共感性羞恥がきつかった」と言っていたが、それだけ読者の心を揺さぶるということだ(急に前向き)

そして、夫はさらに言う。
「女の子キャラはもともと書けると思っていたけど、男の子キャラを書くのが苦手って、前に言ってたよね?」
私「うん。言ったね」
夫「そして、今までの小説は男の子キャラが活きてなかった」
私「はい(急に敬語)」
夫「でも、とっとと成仏してください!は、男の子キャラが活き活きしてていいね」
私「えっ、本当ですか?(まだ敬語)」
夫「うん。特に二巻は颯のキャラがすっごく立ってたよ」
やったあああああああ!
心の中で私、大歓喜である。
ラスボスに半分くらいダメージ入れた気分!

あー、うれしいなあ。
キャラクターを書くのが苦手、と思っていたけれど。
頑張れば、苦手も克服できるんだなあ。

そうそう。
ツイッターや、ポプラキミノベルの掲示板で、とっとと成仏してください!②の感想をもらえて、ものっすごい励みになっている。
ありがとうございます。
おかげでジオンじゃない、私はあと10年は戦えます。

ちなみに、本屋に行った(とっとと成仏してください!②を二冊買ってくれた)伯母にこんなことを言われた。
「本屋で、高校生ぐらいの女の子が、『とっとと買っていこう』って言ってたよ。もしかして、とっとと成仏してください!のことじゃない?」
それは違うのでは。
でも、そうだったらうれしいね。
だけど、「とっとと用事を済ませよう」とかそういう意味だと思うよ!

私を含め、親族まで浮かれているのであった。


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