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ポンコツ人間vsアシナガバチ(弱りかけ)

今日の午後、寝室を掃除していた。
すると、窓辺のカーテンからブブブ……ブブブと羽の音がした。
ここ最近、網戸にするたびにカメムシが家に入ってくる。

羽の音がしている窓は、さっき少しだけ網戸にした。
まーたカメムシが入ってきたのかあ。
そう思ってよく見たら。

ハチが飛んでいた。

家の中、寝室にハチがいるのである。
しかもミツバチじゃない。
でかいやつ。

じっくり見ることができなかったので、ハチ(しかもミツバチじゃない)
だという事実しかわからない。

猫たちは寝室からは出ている。
わたしはそっと戻ってスマホだけもって寝室の外に避難した。

気が動転していた。
このまま猫たちとスマホを持ってリビングにいれば……。
数時間すれば夫が帰ってきて退治してくれる。
それまで待とう。

カメムシの退治はできるけど、蜂は無理……。
あいつら刺してくるし、すごく痛い。

私は昔、アシナガバチに刺されたことがある。

高校二年生の頃に、家で寝転がっておやつを食べていた。
するとその時、太ももに激痛が走った。
槍でぐさりと刺されたぐらいに痛かった。

痛みと驚きで私はその場を逃げ回った。
外部からの攻撃だと思ったのだ。
しかし、そうこうしている間に、二回、計三回アシナガバチに刺された。

アシナガバチは、私のズボンの中にいたのだ。
干してある洗濯ものに紛れこみ、そのままわたしがズボンを履いて、それから数分してアシナガバチが、危険に気づいて刺してきたのだ。
なにこの不運。

その日の夜、私は38度の熱を出した。
ハチのせいだと思う。
腫れあがった足は、次の日も痛かった。

そんなこんなで、アシナガバチは私は恐怖の対象だった。
でも、先ほどの寝室のハチが、アシナガバチじゃなくてスズメバチだったら……。
考えただけでも、卒倒しそうになる。

スマホを持って避難した私は考えた。
そもそも、室内に入ってきたハチが、おとなしく寝室だけに留まるだろうか。
猫たちだって今は寝室に入らないけど、いつひょいと入ってもおかしくない。

もう戦うしかないのか。
しかし、武器がない。
コバエジェットは寝室にある。
でも、それでは死なない。
カメムシだって、あれでなかなか死ななくて苦労したのに。

コバエジェットで万が一、ハチが死ぬとしても。
私は近距離であれを吹きかける自信がない。
吹きかけた瞬間に、こっちに攻撃してくる可能性がある。
怖すぎる……。

どうしようか。
もういっそのこと、ツイッターで

【悲報】寝室にハチがいる

などとツイートしようかと思った。
現実逃避である。

すると、玄関先で見つけた。

蜂用の殺虫剤だ!

実は、我が家は庭先によくハチが出るのである。
そのため、夫が買ってきてくれたのだ。
ありがとう、夫!

しかし、問題はこの殺虫剤は、どれだけターゲットに近づかなくていけないのか、である。
殺虫剤をよく読んでみる。

12Ⅿ先にも届く!
なにそれ最高じゃん!

わたしは、ポンコツがゆえに、〇メートルと言われてもピンとこない。
でも、12メートルは遠いのはわかる。
教習所で車一台分(普通車)は6Mと習ったことだけは、今でも覚えている。

つまり、車二台分の距離でも届く。
家の寝室はそんなに広くない。
じゃあ遠くから使っても、ハチに届く!

私は急に強くなった気がして寝室に向かった。
伝説の剣を手にした勇者の気分である。
これなら絶対にラスボスを殺せる!

ハチに向かって噴射した。

ハチは床に落ちた。
殺ったか?

そう思って床を見る。
苦しみながらも動いていた。

このまま死ぬまで放置でもよかったが。
いかんせん猫たちの興味が、ハチに注がれている。
これはまずい。

以前、フォロワーさんにペットボトルで虫を吸い込んで、そのまま閉じ込めてポイッと捨てるという方法を教えてもらった。

それで捨てようと思ったが、今回はまだハチは苦しみつつも、動いている。
これが、だよ。
もし、ペットボトルの先が変なところに当たって。
それを伝って、私の腕に飛び乗ってきたら……。
死ねる自信しかない。

ペットボトルを持つ手が震える。
しかし、横から手を出したくてしかたがない、あられ。
「だめ! 危ないからだめ」と叫ぶ私。
なかなか死なないハチ。
地獄絵図である。

あと、こいつよく見たらアシナガバチだ。
そういえば、夫が家の外で何匹か見たと言っていた。

私は、苦しまぎれに近くにあった、足に巻いておもりにしてダイエットするやつ(つまり重い)をハチの上に落とした。
そして、重いやつ越しに何度もハチを叩いた。
憎しみをこめて。

これで死んだのでは?
しかし、もう信用できない。
殺虫剤ではない。
虫は殺虫剤をかけても、なかなか死なない。
それを学んだのだ。

あられとちょこを寝室の外に避難させ、ハチのいる場所にまた殺虫剤を噴射。
さすがに死んだと思う。

殺虫剤を吹きかけた床が、べちゃべちゃになった。
私はキッチンペーパーと雑巾にするタオル、ゴミを入れるための袋をもって寝室に戻った。

さて、片付けである。
しかし、おもしをひっくり返すのが怖い。
この裏に、アイツはいる。

もう死骸か。
それともまだ苦しんでいるアシナガバチなのか。
ひっくり返さないとわからない。

このおもしのまま、放置するのもありだ。
いずれ死ぬ。
しかし、できればもう片付けてしまいたい。
実は生きてるアシナガバチが、こっそり這い出てきて、襲いかかってくるかもしれない。

私はハチのことをゾンビかなんかだと思っているのだろうか。
でも、それだけ警戒して損はない相手である。

私は恐る恐る、おもしをひっくり返した。
黒いのが見えて思わず叫んだ。
よく見たら、おもしのタグだった。

そしてチラッとアシナガバチが、見えたと同時にキッチンペーパーとタオルをかけた。
触りたくないし、薄いもので触れたら、刺されそうで怖い。

たっぷりのキッチンペーパーとタオルのおかげで、袋に入れ、口をしめることに成功。

この間、あまりにもハチが静かだったので、本当に仕留めたのか不安だった。

しかし、袋を持っている間、袋の中で何かが暴れている。
あ、これ絶対にいるわー。

最初は、「死んだなら、家の中のゴミ箱でいいか」と思っていた。
でも、まだ完全に死んでないのに家の中のゴミ箱に入れたくない。

そういうわけで、玄関のドアを開けてすぐのところにそのゴミ袋を置いた。
口は閉じたし、もう出られる元気はないと思う。
ってゆーか、そろそろ死んでくれ。

夫が帰ってきたら、これをどうにかしてもらおう。
その間、このアシナガバチ入りの袋が、外のアシナガバチには、敵の首を取ったみたいに見えて怖がるといいんだけど。
いや、むしろ、「この家の人間は仲間を殺した」と思って、復讐のために寄ってくるかもしれない……。

どっちにしろ、私の今日の戦いは終わった。
今までカメムシ退治とかで、わーわー騒いでたけれど。
ハチは勘弁してくれ……。

ってゆーか、なんで網戸にしたら、あんな狭い隙間から家の中に入ってくるんだよ……。
人間が死ぬ気で退治しにくるだけだって、学習してくれよ。

ハチを退治し終えたあと、残りの家事をした。
しかし、ハチ退治の興奮で、落ち着かず。
昔録画した古畑任三郎を観て、なんとか心を落ち着かせた。

もうハチは退治したくない……。
ってゆーか、家の中に入ってこないでください……。

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