煩悩(6)気軽なLINEは「饅頭こわい」

実は、ものすごくさびしがりの私。小さい頃から専業主婦の母が家にいてくれた影響もあるでしょう。誰とも喋らず、作業もせずの時間が続くと泣きたくなるほど不安になるときがあります。

そんな寂しさが募ったとき、スマホに手を伸ばし、5年目の彼氏にLINEしていました。そういう意味では、ある種の依存状態にあったのかもしれません。彼にLINEを送る以外の「時間を埋める」方法を忘れていたのです。

問題の根源は、見えない相手と繋がりすぎることにあります。バーチャルな相手(もちろん、彼もLINEを開いてはいますが)とのやり取りは私の寂しさを埋めてくれましたが、LINEをしていないと何か違和感を感じるようになっていました。

恐ろしいことではありますが、LINE「している」のが普通だと、LINE「していない」だけでイライラしてしまうのです。LINEを否定しているのではなく、私の使い方が誤っていたのだと思います。

高校時代、私は「サッパリしている」と言われる女でした。女らしくないと言われてしまえばそれまでですが、人に対してあまり感情的になることの少ない学生だったとは思います。

しかし、彼からLINEが来ないイライラを感じたときは「どうして私を放っておくの」「何で返してくれないの」と、怒りを覚えるようになっていました。穏やかなはずの自分が他人に対してすぐ怒るのが怖くなり、少し彼と距離を置いたこともありました。

高校時代のありのままの(と思っている)自分は「重い女になりたくない」と彼に不満を言い出せず、LINEの沼にどっぷりの自分は「なんで私を優先してくれないの!?」と爆発寸前の感情を抱えていました。

結局、私はLINEの中毒性に勝てなかったのだと思います。すぐにメッセージを送れるアプリ、気軽に相手と話せるツール、そこから先にいってしまうと、LINEの黒い部分がわさわさと出てくるのです。

「饅頭こわい」は、ご存知の通り落語です。「こわい」という言葉を「ほしい」という意味で用いた男をめぐる物語ですが、私にはこれらの感情が表裏一体のように思えます。狂おしいほどの欲は、自分にも他人にも恐怖を与える結果を招きかねません。

5年目の彼には八つ当たりでひどいことを言ったり、罵ったり、ひどいことをたくさんしました。ごめんなさい。もう少しはやく気付ければよかったですね。本当に。

これはLINEに限らず、SNS全般に言えることだと思います。友人と顔を合わせて、じっくりと話し合う機会を大切にしたいものです。

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