煩悩(2)どの場所にも「想い出」が残る

5年もたてば、お互いの中間地点にあるショッピングセンターや映画館、水族館、動物園、プラネタリウムに至るまで結構な場所を訪れています。

非常に困るのは、どこに行っても「5年目の彼氏と来た想い出」がよぎってしまうこと。地元の某高級イタリア料理屋「サ〇ゼリヤ」、よく立ち読みする本屋にまで痕跡があるのです。(脳内に)

先日、家族で成田山へ初詣に行きました。電車の駅から、うなぎ屋から、屋台の達磨屋さんから、何から何まで記憶に残ってしまっていました。めちゃくちゃ困ります。

困る、困るってお前が思い出さなければいいだけの話だろ。たしかにその通りです。本屋やサイ〇リヤなら他の人と行った経験が勝つかもしれません。しかし、年の初め、クリスマス、バレンタイン、そんな「イベント」日にいったであろうものなら、嫌が応にも浮かんできてしまうのです。

感覚的には、「丸ごとのスイカをみて、おばあちゃんの家を思い出す」のに近いと思います。何らかのブツや行動が引き金になってしまい、ババッとアルバムのページがめくられていくようなイメージです。

私の場合、お気に入りのメニューが店によって異なります。つまり、その店に行くことになれば、87%の確率でそのメニューを注文することになります。それは過去も変わらず、5年目の彼氏と行った時にもだいたいそれを食べているのです。

行く。食べる。思い出す。行く。食べる。思い出す。そうして、思い出してしまう経路ができあがります。

交際期間にはメリットだった「地元が近い」という点が、ここに来て自分の首を絞めにかかってきます。大体休日に訪れる場所には、5年目の彼氏と来ているので、考えてしまう自分に毎回あきれています。

違う意味で「過ぎる」を用いるならば「薬も過ぎれば毒になる」の諺が、この現状を表しているのでしょうか。期限切れ、過剰摂取。

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