マガジンのカバー画像

風の創造帖

29
運営しているクリエイター

2020年5月の記事一覧

9|暴れ馬 有松絞りの浴衣

 晴天の週末に、今年はじめての浴衣を。 袖を通すと、綿がやさしく、肌に涼しく。なんか知らんが思わず涙ぐむ。 うおぃ、泣くほどのことかい!一年振りだから? けどさぁ、泣かんでもえーやん…。 それくらい、柔らかくてほっとする着心地。 生まれ育った地元鳴海の伝統工芸、有松絞り。  昔、浴衣は着物ほどには値が張らない…のが災いし、一時期、夏が来るたびに、出合ったものを求めていたことがある。 あるとき、 と、冷静に気づき、その悪癖が随分落ちつきをみせていたここ数年。 にもかかわら

8|このくにの、祭りの効能

 私の父は、島根県旧邇摩郡湯泉津町小浜で生まれ育ち、同町にある小浜厳島神社で、母との結婚式をあげたそうです。  温泉津は、平成19年に『石見銀山遺跡とその文化的景観』の中に含まれ、世界文化遺産に登録されています。登録対象は、「銀鉱山跡と鉱山町」、「港と港町」、「街道」の3つの分野に分類されています。  石見銀山から取り出した銀を、山から降ろし出港する港町が湯治場として栄えた、その名の通りの、港の温泉街です。 (Cf. 世界遺産『石見銀山遺跡とその文化的景観』について) 

7|子どもの帯飾りと猩々さん

 長いあいだ手つかずだった和箪笥をあけ、整理をはじめました。 触れるたびに出合いがあり、いともたやすく何処かの時空へひょいーっと飛んでいってしまうわたしにとっては、遅々として、なかなか進まない作業…。    これまで、何度も、“未遂(笑)”に終わったカコがあり、肚と腰を据えてやる踏ん切りが、なかなかつかなかったけれど、こんどは、と、碧々と輝く新緑と薫風に、背中を押されるように、扉を開きました。  おそらく、1ヶ月ほど時間をかけ、ゆっくりと、風を入れていきます。  手にとっ