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TABIのオト

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2022年11月の記事一覧

36| 宇治① 鳳凰と翡翠

 曇天下の平等院鳳凰堂は、それゆえか、とても美しく感じました。 (まさに、ほぉ…おぉ!…と・・・オモイマシタ!!!) 阿字池が、より深く濃い翡翠を現し出していた所以もおそらくそうであったかと思います。  翡翠に顕る、上下、左右、雌雄に展開されるまえのひとつ処では、飛翔する鳳凰と、いまこの瞬間に着地する鳳凰とが、あわさり翼が幾重にもひろがるが如く。    平等院鳳凰堂を後にし、宇治川沿いへと暫く歩くと、ちょうど山紫水明の位置に、市営のお茶室、対鳳庵があります。 各流派の先

35| 滋賀② やまとみずと

 膳所の名の通り、御厨(台所)の地で、豊饒の祈りと、豊かなめぐみへのよろこびや感謝を捧ぐ膳所神社。 静謐で荘厳な雰囲気のなかに、力強さと、質実剛健的でありながらも、ひとすじの上品な華やかさが流れているように感じました。  佇んでいると、“栄えるところ、水の豊か” という、原初、原則的な感覚に包み込まれ、つよく吹き抜ける風にきづきました。 そして、先ほど下りてきた山麓と、琵琶湖湖畔にほど近いこの場所に、繋がりのあることにも。  湖は、外壁を山々や大地に守られることで、穏やか

34| 滋賀① 花雲水

 琵琶湖から流れ出る湖水は瀬田川をなし、山深い渓谷と繋がっています。 その瀬田川が、信楽川という川と出合う地点、大石とよばれる地に、佐久奈度神社があり、その大石龍門のすぐそばに、今回訪れた「叶匠寿庵 寿長生の郷」はあります。  碧あおとしたもみじを背に、広間で薄茶を頂きながら、わたしはつい嬉しくなり、亭主の方とのお話が弾みます。 叶匠寿庵さんに、この土地が渡ることになった経緯や、広間建屋は淡交社の設計で、奥の小間の茶室は中村外二さんが関わっていらっしゃること。 梅林のことな