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梅雨の晴れ間が まだかまだかと 夏を呼ぶ 青い陽射しの勢いに なぜか心も急かされて 日傘で避ける 時の流れ 一人歩きの始まりは 心細さが惑わせる 残る想いにつまずいて 季節だけが過ぎて行く 今あなたは 何処を歩いていますか
もどかしい雲が居座って あなたの笑顔が あなたの声が 遠くなる 払ってみても 私だけでは動かない 立ち込める不安なら 私だけでは消せはしない こんな時は手を繋ぎませんか もっと一緒に歩きませんか 雲が晴れるその場所まで
迎える春の賑わいを 咲きほこる花詠みを 隣で一緒に過ごせていたなら 春にもたれかかっては 夢語り 背中を思い出しては 昔語り 想いを残した心には 春の日差しはやさしすぎて まだ 手放せないままに
雲一つない青色に 空の向こうが見えそうで 背伸びをして目を凝らす 思い出ならばあなた色 明日ならば一人色 どちらも見たいと 欲張りが手を伸ばす もう届かない まだ届かない どちらも見たくないと 弱虫が下を向く 空はただ微笑んでいる
舞い始めた明るさに もうそこに 見えそうな春 目が慣れない眩しさに 戸惑うばかりの心では 受け止めきれない時の流れ このまま冬に 埋もれていたい衝動は 遠ざかってしまう あなたの影のせい 季節の移ろい 心の移ろい 想いも移ろい去ってくれたら
微笑む陽射しが まどろみ誘う 休日の午後 こんな日は 行きどまりの あの場所まで散策に 会いに行くのは あなたの言葉 昔色に 染まり始めた懐かしさでも 明日の一歩の力をくれる もう声は聞こえないけれど 透き通った想いは変わらず 心の中のとっておきの場所
沁み込む涙の行先きは 仕舞ったはずの想い箱 音無く漂う切なさに 押さえる心は弱くなる 流れる時間に寄り添って 遠ざかっていく色合いに 少しの安堵と淋しさと 確かめてまた蓋をする 想い出は 時々覗くくらいがいい 住んでしまうには あまりに儚すぎるから
想いを文字にして 待機している明日のように 次々訪れる時間の中で 名残を惜しむことが出来るのは 変わらぬ文字の普遍だけ いつか離れる 視線より いつか薄まる 感動より いつか遠のく 声よりも あなたを文字で 私にください
思いもよらない香りを纏って 届いた言葉 柔らかい棘の刺さった よそよそしさ 私が 思いもよらなかったから あなたに 言わせてしまった最後の言葉 一瞬で 氷が張り詰めたあの部屋で 私が最後に聞いたのは あなたの涙の落ちた音
心の渇きで目を覚ます 夢は夢でしかないことを 心は知っている 呼び覚ますきっかけの 彷徨う慕情も 心は知っている その中に何を秘めるか 限りに目を凝らし 浮き出るものに 今更ながら 泣き尽くす その想い 心は知っている