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夕暮れ~夜

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夕暮れ~夜 思いにふける
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2023年11月の記事一覧

【詩】月の場所

優しさが降ってくる 見上げれば 月の光が流れ込む 心にそっと流れ込む きっと 月は知っている 今日の影も 明日の不安も 何もない 今日と明日の間の場所 きっと 月だけが知っている 今日の私も 明日の私も 何処にもいない 私だけの私の場所 せめて満月の夜だけでも 溢れる光に酔いしれて ふと願ってしまうそんなこと

【詩】長い夜

静けさの中 灯りの僅かな揺らぎに 進み往く夜を知る 心と気持ちが向かい合い 狭間で私は流れるばかり どちらも私 長い夜 折り合いに背を押され 朝を始めるまでは 私の声を聞いてみる 私の思いを聞いてみる そんな夜があってもいい

【詩】車窓

紫の空色が 陽の終わりを見送りながら 静かに夜に紛れていく 流れる景色に 過ぎる時を見るような 揺れ始める街の灯が 手に取れそうに暖かいのは 潤むように眩しいのは 心が灯しているからと 生きているひかりだからと 自分にもあるのだろうか 車窓に重なる私の顔が 羨ましそうに眺めている

【詩】街

見知らぬ街で 見つけた夕陽が 街並をやさしく覆い 静かに今日の終わりを告げている 見とれる中に湧く心細さは 帰るべき街への慕情からか そっと暮らしているだけの 有るような無いような そんな心許ない居場所でも いつしかあそこが私の街 まだ僅かな軌跡でも 私の足跡が残る街 帰ろう