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私 心の内
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#眠れない夜に

【詩】花

揺らめく蝶に誘われて 小さな花に挨拶をする 一人で咲き 一人で散りゆく その清々しさに 私を好きになれたなら 今が愛しくなるのかな 私を分かってあげられたなら 今が幸せと思えるのかな 道脇で誇る花のように 私は私でいいと 潔く思いたい

【詩】坂道

不安げにうつろう足跡は 私の心の揺れの跡 坂道に残るため息が 振り向く私を眺めている 心の通りに歩くには 笑顔だけでは進めない 我慢だけでも進めない それでも続く明日なら 今日までの私を 涙の雨で流して消して 明日は 坂の向こうの空を見上げて

【詩】心の隙間

肌に絡まる湿っぽさ 明日の雨を予感する 昼間の暑さが溜まったまま 風の声も無く 動かぬ空気が 静けさばかり連れてくる 心の声が響いては 心の隙の寂しさを 飲み込み飲み込み 沈め行く 胸が詰まるこんな夜 過ごすごとに強くなる 過ごすごとに弱くなる 私と向き合えない私が 灯りの下でただ一人

【詩】雨の音

ささやかに響く雨音が 一人の部屋に 静けさを呼ぶ 気持ちが連れ去られないように 握ったのはあなたの面影 あたたかいと思うのは 私の弱さ 夜も続く長い雨 いつか一人で 立ち上がって 窓を開ける日が来るように でも今はまだ

【詩】春色探し

往く風に 春舞い上がり まぶしさを降らす頃 賑やかな彩りが 通りや街を染めていく 春色探し 見つけては 悲しみ色を置いていく 見つけては 淋しさ色を置いていく 新しい色に包まれて あなた色を置いていく

【詩】その先

未だに何物でもない私 それでもずっと私をやっている なりたい何かがあったのか 憧れた何かがあったのか 私は私にしかなれないものを そんな事にも気付かずに 途方に暮れては遠回り 自分を納得することは 否定するより大仕事 でもその先は その先にしかないのだから

【詩】霧氷

枝に寄り添う霧氷が 眩しそうに輝きながら 溶けてゆく 散りゆく姿の可憐さに そっと沸き立つ微笑みの 響き渡る暖かさ いつしか笑顔は するものになっていた 型にはまった笑い顔 奥底が冷えていく 綺麗なだけではない日々で そういう時は 心が喜ぶものを探して