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私 心の内
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2023年5月の記事一覧

【詩】陽だまり

廊下に浮かぶ陽だまりが 樹々の影に揺らめいて 瞬く光をなびかせている やわらかい陽の色が 昔色にいざなわれ 誘われるまま目を閉じる 無邪気を無垢とよび 全てから守られていた 夢が夢であった頃 私が私であった頃 今はもう心の中にしかない 幼い頃の情景に 心が一瞬旅をした

【詩】今日の終わり

終る今日の切なさを 静かに夕日が燃やしている 染まる色は 過ぎ行く時を映し出す あの空のように 精一杯 今日を私は生きただろうか あの陽のように 戻らない時を 今日に刻めただろうか いつか思い出せるほど 今日を大切に出来ただろうか

【詩】雲

青の淡さに包まれて のんびり色の雲一つ 行き先は お天気任せ風任せ 雑踏に浮かんでは 私色も忘れがち 行き先は 何処かにきっとあるはずと 心の風に任せてみよう まだ見えなくても きっと私が教えてくれる

【詩】片隅で

語り掛ける陽射しに 答えるように咲く花は 忘れられた花壇でも 誇らしげに揺れている 忘れられた片隅の 小さな部屋でも 心地よさに囲まれて 私は私を照らしてゆく 何気ない毎日を 私らしい毎日に そっと変えながら

【詩】泣くこと

雨粒がぽつりと葉に落ち 緑を映して流れゆく 涙がぽつりと心に落ちて 私を映して流れゆく 沁み込んだ雨が また緑を萌やすなら 沁み込んだ涙が きっと私を強くする

【詩】雨の音

ささやかに響く雨音が 一人の部屋に 静けさを呼ぶ 気持ちが連れ去られないように 握ったのはあなたの面影 あたたかいと思うのは 私の弱さ 夜も続く長い雨 いつか一人で 立ち上がって 窓を開ける日が来るように でも今はまだ

【詩】寄り道

知らない路地を歩く時 何処かに 不思議を探している 何処かに 懐かしさを探している いつかあの時に 通じる道があるかもしれない 未だに心が寄り道をする 対価は時間 時の流れから 落ちていく

【詩】晴れの休日

萌える緑と 眩しい青と 枝葉の笑い声の間から 空もこちらを向いている 昨日と違って見えるのは 昨日と違った私の心 もっと上手な心なら いつも穏やかに過ごせるものを もっと上手な私なら いつも強くいられるものを 休日の魔法に助けられ ほっと一息ついている そんな晴れた日のこと

【詩】憧れ

光を空から受け取って 葉は揺れながら かがやきを運ぶ こんなに眩しいのに 手を上げて 握っても握っても 開いた手に光はなく 手をかざし 触っても触っても 掌に感触はなく 焦がれても 掴めない 憧れのようで 想っても 捉えられない あなたの心のようで ただ暖かさだけが 心に響く