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私 心の内
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2023年3月の記事一覧

【詩】きらきらと

視線が触れる足先に 昨日の雨の水溜まり きらきらと あまりに澄んで映すから 思わず探した青空の行方 いつから 下を向いていたのだろう 見上げれば 久しぶりに会った大空に 今日を見渡す太陽が 前を見れば 今日の道が待っている いつもそこにあったはず 忘れていたのは私だけ

【詩】洗濯日和

弾む光が賑やかで 今日は朝日の声がよく透る 誘われるまま陽を浴びて とりどりの思いが昇華する 軽くなる気配は 心が貯めてた雫のせい 乾いて気付くその重さ それでも私の欠片たち せめて大きな青空へ こんな日は晴れてて良かった 心の洗濯日和

【詩】お花見

空に向け 心開き 花開く その懸命の健気さに 目の奥が瞬きをする いつも 心の一歩手前で息をしている 傷つく怖さも 愛でたい花も 臆病番人が 心の手前で立ち塞ぐ 器用には生きれない 溜息の中 立ちすくむ 咲く花の清らかさに

【詩】雨の音

濡れる裾も気にかけず 宵闇の中 一歩ずつ  雨が傘にはじかれて やさしい涙の音になる 胸の奥から立ち昇る 不安の声が かき消され 雨の音に寄りかかっては 心が一息ついている 弱さに追い付かれないよう 遠回りして もう少し この音を聞いていたい

【詩】休日

澄み切った川面の光に 街の色に疲れた目が 潤っていく 清々しい川音に 街の音に疲れた耳が 癒されていく たおやかな川の流れに 街の時間に疲れた心が 居眠りをする 心の声を聞いた日は 私を休む 私の休日

【詩】もどかしい春

零れそうな溜息を 足音で聞き流す 浮かび上がってくる声を 風音で聞き流す あちらこちらで動き出す 春を告げる賑わいに 心湧きたち 心乱れる 何も変われない己が身を 持て余しては 焦がされて 真新しくて慌ただしい 春の空気が私を揺らす

【詩】春色探し

往く風に 春舞い上がり まぶしさを降らす頃 賑やかな彩りが 通りや街を染めていく 春色探し 見つけては 悲しみ色を置いていく 見つけては 淋しさ色を置いていく 新しい色に包まれて あなた色を置いていく

【詩】その先

未だに何物でもない私 それでもずっと私をやっている なりたい何かがあったのか 憧れた何かがあったのか 私は私にしかなれないものを そんな事にも気付かずに 途方に暮れては遠回り 自分を納得することは 否定するより大仕事 でもその先は その先にしかないのだから

【詩】一歩

風もふわりと瞬いて 樹々も背伸びであくびをし 今かと沸き立つ 季節の流れ たじろぐ足先に戸惑って 少し遅れて空を見る 頑なをいっそ陽気でほぐしては そっと心を春に任せて 促されても 押されても 一歩は一歩 冬から春へ 自分の足で歩いてみる

【詩】時の風

時の風が吹く まだ暖かい残り香の 傍で眠る心の今を そっと振りほどき 過ぎし日々を閉じていく いつまでも留まっていたい いつか進まなければいけない そんな時 時の風が吹く 後に残していくものは 思い出色になった日々 抱きしめながら 私を歩きはじめる