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私 心の内
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2023年2月の記事一覧

【詩】そっと

穏やかな退屈色が 無邪気に広がる街並みで すまし顔で吹く風に 漂う姿の私は見えず 明るく微笑むウィンドウに 漂う姿の私は映らず そっと生きる 淡い空気のその中で これも一つの心地よさ そっと私を生きていく

【詩】霧氷

枝に寄り添う霧氷が 眩しそうに輝きながら 溶けてゆく 散りゆく姿の可憐さに そっと沸き立つ微笑みの 響き渡る暖かさ いつしか笑顔は するものになっていた 型にはまった笑い顔 奥底が冷えていく 綺麗なだけではない日々で そういう時は 心が喜ぶものを探して

【詩】どこを見ても

雲往く半ばに見えるのは こっちを向いている だれかの顔 ビルの背中に見えるのも こっちを向いてる だれかの顔 踏切で過ぎ行く風に見えるのも やっぱりこっちを向いてる だれかの顔 駆け足の日々 私を忘れてきたのは私 私を置いてきたのも私 きっとどこかで待っている 戻ろう 私を思い出すまで

【詩】涙の行方

流せなかった涙の行方 心が溺れてしまわぬよう 溜まった涙の処方箋 私の心を診れるのは やっばり私だけだから

【詩】乞う場所

ふわりと沸き立つ衝動に 影を潜めていた憧憬が 恋い乞う場所に私を飛ばす 歩いて弾んだ足跡も 池が映す光の影も 佇むベンチの笑い声も 今は昔 一番好きな私だった頃 それも今は昔 もう戻れない まだ越えられない だから私は 今も私の途中のまま

【詩】花瓶

束ねた気持ちを 花瓶に差して 水をやって育てたら なりたい自分が 見えるでしょうか 思いをやって育てたら なりたい自分に 近づけるでしょうか 心に陽を浴びせたら 望む明日に 届くでしょうか

【詩】ひとやすみ

戸惑いも憂鬱も 我儘に走り抜けるビル風に 放り出されて 押される背中 進まされていた無我夢中 少しの寄り道くらい もう怖くないはず うやむやの欠片ばかり 飲み込んで来た 心の思いも聞く頃に そんな淡い予感が聞こえた日

【詩】その先

未来が空に浮かんでいた頃 陽射しを見る心は いつも大きかった あきらめ色の風が 雲を呼び 狭い景色に 慣れ行く日常 自由のはずの心が 私を小さくしていく これからが しぼんでいく そうかもしれないという思い そうはしたくないという思い

【詩】心の内側

掌に 舞い落ちる雪 溶けゆく音に 手のぬくもりを思い出す 冷えてしまったのは 心の内側 冷めてしまったのは 気持ちの内側 冬が癒えるまで 時が効くまで まだ少し