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最低な私の無秩序な言葉と、青春の中のあなたの美しさと永遠と


うまく言葉にできない感情を、形にするにはどうしたらいいんだと思う。どうしてこんなに下手なんだろって、死ぬまでにあと何度、この文章を切り裂いたら私は、ぐちゃぐちゃに滲む感情を紡ぐことが巧くなるんだろう。伝えたい、伝わらない、わかってほしい、わかられたくない、あなたに近づきたい、近づいたと指先が伸びたらきっとあなたは先を行ってまたその背中は消える、あなたを理解することなんてもう許されない、一生許されない。悲しいと思っていいですか、あなたのことを何も知らない私でも、今日を悲しいと、ばかの一つ覚えな、陳腐な言葉を空に叩きつけてもいいですか。

あの日はずっと泣いていました。誰の歌を聴いても涙が止まらなくて、あなたを語る言葉のなにひとつだって見たくないと思うのに、誰の感情にも触れたくなくて、苦しくてしかたなかったのに、言葉を吐いていないといますぐにでも私自身が朽ちてしまいそうで、立ち上がれないくらい頽れてしまいそうで、結局、夜が終わるまで、いろんな言葉に溺れていました。いまもどうしたらいいのかわからない。私が、私として紡ぐ言葉は混乱している。どうしてこんなに愚かなんだろう。どうしてこんなに、愚かな問いを繰り返しているんだろう。


人が死ぬのは悲しいって、形にしたら10文字もない。あまりに易くて嫌になるんだよ昔から。嫌になるんです、嫌なの、嫌だ嫌だ嫌だ、本当に、何でこんな独り善がりな声しか咽喉からさけべないんだろう。わかってあげられない、わかるはずがない、わたしはあなたじゃない、あなたはわたしじゃない、そんなあたりまえのことがいつだってつらくて、もうずっとつらいままなんだよ。産声を上げた瞬間から私はずっとつらいんだ。独りなんか嫌だ。さみしいのなんか嫌だ。叶うならあなたを抱きしめたかった。抱きしめることを許されたかった。どんな形でもいいから。

こんなのだってただの自慰だ。くだらない。くだらないとわかっているのに書いている。痛みを覚えておきたくて書いている。せめてこの痛みが愛に変わればいいんだって、痛くてたまらなかった記憶があなたの存在になればいいんだって、自らを傷つけて嗚咽する。ティッシュが何枚あっても足りないよ。あなたが喜ぶわけがないからただの自慰だって言う。可哀想なのは私。あなたを抱きしめられなかった私。悲しい私。どうせ一年後には「そんなこともあったね」って、誰かの前で平然と笑ってみせるんだろ。所詮他人のあなたのことだもの、死んだのは私じゃない。

私は最低だ。


生きてほしかった。何で過去形で書くんだ。過去形でしか書けないんだ。何でだよ、嫌だよ、嫌だ、こんなに嫌だって思っているのに。

言葉はいつだって遅すぎる。




涙があふれている。ボロボロと玉のように落ちる。この雫は濁ってはいないだろうか、真実、あなたのためだけを想って、清らかに泣けているんだろうか。わからない、わからないけど、私、あなたの優しい笑顔と落ち着いた声が好きでした。それはほんとうです。本当だよ。画面越しに見るたびにかっこいいなあって思った。歳を重ねるほどに、またいい男になったなって思っていた。学生時代、あなたのことを大好きだった友人が「春馬は私のもの」って言うから、1秒もあけずに「いつおまえのものになったんだよ」って、無邪気に笑い合ったことを、昨日のことのように思い出せるんです。私たちの青春の中で、あなたは息をしていた。生きていた。生きていく。生きていくんだって、言い聞かせている。

私は、真夜中に、たったひとりで台所に立って、包丁を握って死のうとしたことがある。忘れられない。あれは確かに死だった。あの真夜中の死は、いまでも私の影になって、不意をつき、私を飲み込もうとする。あの、絶対に晴れてゆかないような虚無感から、あなたが逃げてゆけたのなら、もしも少しだけ、救われたのなら、笑ってあげたい。きっとひどい笑顔だけど。


あなたが好きだよ。いつか忘れてしまうのかもしれないけど。でも今日もまだ、私はあなたが好きで、あなたが好きなんです。




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