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【感想】アニメ・映画:青春ブタ野郎(2019/07/05 19:09)


けっとおと申します。2年前の文章を意味も無く張り付ける28歳男性です。

劇場版「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」を見てから完全に脳味噌がぶっ壊れて感情が溢れて手を動かすしかなかった時の殴り書きメモ(何のために書いたのか不明)を発掘したのでただただ貼ります。

とにかく自分の中での咀嚼(解釈)、整理がしたかったやつです。

多分この頃まだ原作読んでなかったと思います。



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 胡散臭い、いかにもラノベなキモオタ御用達タイトルに、ウンザリして、早10年以上、
 しかし内容は、タイトルの第一印象に沿わず、慎重かつ手の込んだ作品である印象。
 タイトルの印象からギャップを食らう経験は多い。タイトルで作品を見分けるのではなく作者を見るべきだとつくづく思う。

●要素の整理

 ライトノベル学園モノ恋愛創作としては、ハーレム無し、パンチラどころかラッキースケベさえ殆ど無い、タイトルとは裏腹にオタクに媚びない清楚な作品。
 恋愛としてのヒロインは絞った上で、物語の内容と会話が充実している。
 アニメとしては、キャラの表情・挙動、服装や風景・季節・空気感、等、作画に対しても妥協が無い。

 物語ジャンルとしては、学園日常生活に潜む非日常モノ。
 非日常モノとは、本来、読み手の現実世界と同様の法則に従った世界観の中で、本来起こり得ない、現実世界の法則に従わない展開が発生するという世界観。
 そして発生した日常的な事象に対し、主要キャラクターがどのような対応を行うかを描くものである。
 その対応としては、主要キャラクターの行動・成長・技術についてを描くことで、主要キャラクターの性格・人物像やその状態の変化、キャラクター同士の関係性や関係性の変化を描くことが出来る。
 非日常モノとは、その世界観の設定と、その世界観によって物語とキャラクターを動かするジャンルである。
 このジャンルにおける特徴としては、主人公に発生した非日常に対し、主人公以外の人物にどれだけの認知があるかどいう調節があり、事象に対し地域や学校全体など多数の知名度があれば「非日常vs組織」であり、主人公の周辺の数人のみの知名度であれば、「非日常vsチーム」であり、主人公のみの知名度であれば、「非日常vs主人公」となる。
 読者の認識する感情移入先は、その規模が小さければ小さいほどに感情移入の難易度が下がると思われる。
 主人公独りだけが犠牲になり、独りで抱え込むといった状況を描き、その心理描写を描くことが、最も感情移入の難易度が下がっている状態となる。
 この展開に恋愛を織り交ぜた場合、主人公だけでなく、もう一人、ヒロインだけを非日常を認知させることで、二人だけの”秘密の共有”状況を作り出すことができ、日常への対応が”共同作業”となり、非日常モノという世界観を利用して、二人の関係性の進退を描くことが可能となる。

 この非日常作品では、非日常に対峙するのは主人公とヒロイン、友人であり、少数チームとなる。
 とは言うものの、主人公はあまり周りを巻き込むのを好まず、己が抱え込んで努力して解決すれば良いという姿勢のため、チームにアドバイスや協力を求めることはあっても、基本的に対応するのは主に主人公となる。
 しかしその上で、主人公はそういった自己犠牲精神を持ち合わせて居ながらも、信頼する人への報告連絡相談は行われており、ヒロインは主人公をサポートする立ち位置となっている。
 主人公が苦労を強いられる場面において、一番精神を支えてほしい人が味方として支えてくれる。このジャンルを十分に活用した恋愛モノとして、不足分は無く、考えうる限り最高に近いパフォーマンスで進行する。

 非日常には「思春期症候群」という名前がついており、思春期の少年少女が発症し、結果として日常では起こりえない事態が起こる。
 そのストーリーとしては、過去に思春期症候群に巻き込まれ、既に知識や覚悟を持った主人公が、思春期症候群を発症した人を助けていく流れになっており、最初にメインヒロインを救済し、次に女友達、その次に別の女友達、次に妹、次に物語の根幹を担う重要キャラの救済を行う。
 それぞれのストーリーが世界線として切り離されるアマガミ方式では無く、全て同じ世界のストーリーとして時系列が地続きとなっている。

 そういった、非日常と女性キャラを一人一人救済する主人公という構図、また、最初に救済したキャラと速攻結ばれて付き合うという展開など、ストーリー構成が個人的には「化物語」と似ている気がしている。ただ、その上で個人的に言うなれば、化物語に求めていたが得られなかった、本来欲しかったものが、青春ブタ野郎では得られたという満足感がある。(化物語を卑下しているわけではない)


●好きなキャラと好きなシーン

・桜島麻衣先輩がエロ可愛すぎる。声も見た目も性格も何もかも素晴らしく可愛い。見てるだけで死にそうになる。完全に作品を通して殺された。(視聴前はビジュアルに何の興味も無かった)

・後輩と転んでしまって、桜島先輩に誤解を生んでしまうシーンの後、その誤解で面倒な展開になるかと思いきや、「どうして言い訳しにこないのよ」って家まで来るシーンすき。理不尽に責め立てず、理解のあるヒロインは好感度が爆発してしまう。

・「将来は麻衣さんと添い遂げたい」って言った後、シャーペンをカチカチやるところすき。

・バニーガールの格好してって言ったら、部屋ですぐに着てくれるところ好き。なんやかんや主人公の気を引こうとしているところすき。(その時、後輩の彼氏役だったのもあって)

・ループ中、教室の昼飯の時に、「失恋かぁ。新しい恋を探すしかないな」の時の先輩の反応すき。

・「咲太の想っているより、私咲太のこと好きよ」をいつものトーンで言うところ大好き。

・翔子さんに18時に会いに行くという話を、主人公以外の第3者から聞いても怒らない先輩と、その後に主人公の代わりに会いに行ってくれるところもすき。理解とか余裕が凄い。

・映画の、翔子さんが家に来た後の露骨な反応すき。

・こたつの中で翔子さんと麻衣先輩が咲太の足を触るシーン好き。

・咲太が死ぬとわかった後の、麻衣先輩の反応大好き。正直ここが良すぎてこのコンテンツにドハマリした。性癖なんで。

・麻衣先輩死んだときは、「おまえええええええええええええええええええええええええええ!よくも!よくもやりやがったなああああああああああ!!!!」って怒鳴りそうになった。

・麻衣先輩死んだ後の絶望シーンの完成度が良すぎる。麻衣先輩ロスト、エモーションすぎて、今はまだその環境から帰ってこれてない。

・タイムリープの麻衣先輩の楽屋で、麻衣先輩を止めた時、「大丈夫じゃないわよ!!」って瞳孔開いてキレたシーンが最高。

・映画の最後、完成度良すぎて、つらい。もう、つらい。

・麻衣先輩の映っているシーンは全部好き…。

・全体で大きく見ると、かえでの話と、映画が狂おしいほど好き。

・声優、全部良い。聞いていて心地よい。上手い。


●個人的に思う、青春ブタ野郎(アニメ)の長所

・キャラクターの表情、動きが細かく丁寧。絵が安定している。曲と雰囲気が良い。作品のコンセプトにもある「空気」の完成度へ向けた本気を感じる。作中の空間の空気・天気・照射・背景・風景・構図が何もかもが素晴らしい。キャラクターの魅力や性格を引き出す上で無駄が無く簡素で最適な表現がなされている。

・日付が具体的に表示され、時間経過を肌で感じながら視聴ができる。作中の時間経過が感じやすいことが、感情移入を助長する。実際の現実の経過時間だけでなく、感情移入によって体感時間が長くなる。少なくとも視聴中はLIFEのクオリティが上がる。

・キャラクターが基本的に無表情で会話している。無表情会話は、キャラクターに余裕を感じさせ、感情移入の際に視聴側の精神を落ち着かせる。また、無表情故に、表情が付いた時にメリハリが感じられ、その変化した表情を強調させることが出来る。

・どのキャラクターも愛せる。嫌悪感を持つキャラクターが居ない。無理なキャラ付けが無い。嫌悪感を齎す展開も無い。これは表現モノとして失敗が無い。(上里さんは除く)
 基本的に登場人物みんな頭が良い。キャラクターの知性は作者の知性を超えることはない。しかし、賢いキャラクターを表現するにあたり、特別な知識は必要ではなく、

「難しい言葉を遣わず、わかりやすい言葉を使う」

「1つの語りが長くない。 言葉数が少ない上であまりにわかりやすい。感情・目的などコミュニケーションを表現する上で可能な限り手短に、少ない単語から伝わる情報量が十分」

「キャラクターが誤解をしない。物分かりが良い。誤解から生じる頭ごなしな展開が基本的に無い。(「誤解」は人物の余裕の不足、理解力の不足、コミュニケーション不足からくるものであり、不足とはキャラクターの賢さを示す上で対局の表現となりうる)」

を表現することにより、特別な知識が無くともキャラクターの賢さを表現できる可能性について考えさせられる。また、キャラクターの思考に一貫性がある。発言に筋が通っている。素直・正直である。感情移入に必要である「共感」が得られやすい。「共感」への抵抗が殆ど無い。賢いキャラクターを見ていると自分も賢くなった気持ちになる。
 それにしても、ここまで物分かりが良いヒロインを俺はそんなに知らない。言葉遊びなど、主人公もヒロインを手のひらで転がしているし、ヒロインも主人公を手のひらで転がしていてこういう関係性すき。

・会話のテンポが良い。物語の進行における最短で無駄のないキャッチボールで、心地よく展開する。キャラクターが喋る度に理解が深まる。全ての発言に意味がある。物語を進行させながら、同時に一見意味のない無駄な日常会話を行うが、その日常会話が物語の進行を邪魔することは無い。寧ろ一見して何の意味も無い日常会話により物語が進みやすくなっている。日常会話のレベルも高く、面白い。会話だけでなく、1シーンも短い。1シーンにつき、必要な物語進行・面白い日常会話を行い、オチ(主人公がセクハラ発言をし、「変態!」と罵倒で終わるなど)を付けて、次のシーンへ移行する。このテンポが良く、無駄が無い。(アニメのために原作のシーンがいくつか削られている結果)。

・女キャラは多いが、ハーレムを作らない。恋愛関係になるキャラは絞っている(ヒロイン3人以上は失敗作となる理論)。女キャラと関わるタイミングは多くとも、そのキャラクターを無闇にヒロインにはしない。

 ヒロインが増えた場合でも同時に2人以上にはならず、一定期間のみのダブルヒロインとなる。その話が終わった後はスパッと切り替えている。

 基本的な恋愛創作において複数ヒロインによる(主人公の心境・恋愛バトル等)駆け引きを描く場合、ヒロインを一人登場させた後、しばらくしてからまたもう一人のヒロインを登場させる。しかしその場合、作者によほどの腕が無い限り、二人のレースだけでは恋愛を描き切れず、新たな展開としてヒロインがさらに増えるといった展開になりやすい。またはヒロインを増やすことで各キャラのファンを増やし、ひいては作品のファンを増やすことも目的となる場合もあるであろうが、それは創作ではなく商売となってしまう。そういった可能性の中で、増えたヒロインを即退場させ、友人の立ち位置として置く物語はそう多くない。

・メインヒロインは確実に設定しているが、その上でヒロインが一人増えている期間中は、「どうなるのかわからない」状況を作り上げる。メインヒロイン一強ではあるものの、展開によってそれを心配にさせる。キャラクターの魅力と、展開を最大限に生かし、物語を作り上げている。

・基本的な長期連載ラブコメであれば、最初にメインヒロイン登場後に恋愛フラグを上げながら、そのまますぐには成就せず物語が進む。「果たしてメインヒロインと結ばれるのか?主人公の恋は叶うのか?(またはヒロイン⇒主人公構図の場合も然り)」という感情を持たせながら、物語が進む。しかし、この作品は、ヒロインの最初の物語で、ファーストコンタクトでほぼ恋は成就している。

 それにより、これは恋愛成就のラブコメを描いたものではなく、「アフター」を描くことに「成功」している。アフターを描ける数少ない作品である。また、こういった萌え豚オタク御用達アニメの皮を被った作品において「アフター」を描くことに驚きを隠せない。

 メインヒロイン攻略後に、他の女キャラの攻略を続けるが、その間でも定期的なメインヒロインとの交流は欠かさず、メインヒロインを放置しない。結ばれたヒロインとのイチャイチャが本当に楽しくなるよう構成されている。「恋愛は結ばれるまでが面白い。結ばれた後は面白くない説(以前から立てていた仮説)」を完全に忘れさせられてしまった。その仮説の根拠がもう思い出せない。結ばれてからも楽しすぎる。一生イチャイチャしていてほしい。毎度毎度の夫婦漫才が素晴らしい。どの漫才もオチがついて素晴らしい。毎度毎度ツンからデレまで一口漫才。定期公演。キャラクターは素直が一番。定期的なイチャイチャがあることによって、どの回も見返せる。どのタイミングでもどの話でも見れる。見返せる。「~編は見返す必要ないかなぁ」みたいな、それが無い。バグ。頭おかしなるで。

・どの非日常も可能性が感じられる。透明忘却、タイムリープ、ドッペルゲンガー、二重人格、記憶喪失。全てどのタイミングで食っても美味い。そういった非日常が体験できるというだけで大変なご馳走。どれも発症原因はあり、それを理論的に解決する。その解決法に、その筋道に無理がなくて良い。無理矢理な理不尽な発症でも、無理矢理な理不尽な解決法でもない。どれも納得できる。

・女の子へのセクハラが、男としての幸せを感じられるという事を理解している。再認識してしまう。どうしようもない。楽しい。女性にセクハラしたいもんな。本気で嫌がられる顔される方が嫌だけど。


●(強いていうなら)欠点

・バニーガールの恰好をするなど、多少無理のある頭のぶっ飛んだこ展開はところどころある。無理なキャラ付けも多少感がある。視聴を続ける程、ヒロインは常識人であることがわかるので、尚更バニーガールの恰好をするような人には思えなくなる。(しかし、何故かそういった違和感を感じさせないようにできている気がする。何をされたのか、どういう技術があるのかわからない。ゆえにそれは欠点として、足り得ない)

・主人公が、誰にでも優しく、聖人で、口説きにかかる勢いがある。容赦なく無差別に攻略しているように見える。ちょっと控えてほしい。それが主人公の良いところなのかもしれないけど。

・失恋ヒロインを、すぐに吹っ切らせて友達ポジションに置くのは、思い切りが良すぎる。人間、そんなに切り替えが早いものではない。女性は切り替えが早いと言うけれども、失恋後も主人公と関わり続けるのは生き地獄ではないか?キャラがどういう気持ちでいるのかわからなくなる。こわい。(夏休み前の期間リセットにより、仮付き合い時代の記憶や感情が消えている?消えるか?ほんまか?)

・もっと日常パート見せろ。テンポが良すぎてつらい。(ある意味褒め言葉)
 どれも面白い非日常物語を継続して摂取できるから中毒化する。どらえもん化する。そういったことをするから、この作品を一生見ていたくなる。最終回症候群にもなる。これ以上話を見られないことが本当にしんどい。話に限りがあることが悲しい。許せない。

・非日常展開としては、物語は面白いけども、恋愛展開としてはどちらかというとあまり美味く作用していない。非日常展開は、恋愛の進展についてを最大の目的としていないという事だろうけど、多少もったいない気がする。
 ドッペルゲンガー、姉妹入れ替わりの件も、主人公は間に入っているだけである。元凶は何もしない。ドッペルゲンガーもそのお互いが鑑賞する気が全くない。解決させる気が無い。主人公が間に入って振り回されている。姉妹入れ替わりも、お互いが鑑賞する気が無い、解決の気が感じられない。何もかも主人公任せ。主人公に甘えすぎ。甘えんな。間に入る者の辛さが分かるからこそ、ちょっと辛い。

・主人公は何故ヒロインが好きになったのか?ヒロインは何故主人公が好きになったのか?きっかけ・理由は明確に語られていない。きっかけや理由が無いことが、「相手を好きになるのに理由はいらない。明確なきっかけや理由が無いことによって、相手のありのままの自然な性格を好きになった」と捉えることが可能であり、それは長所足り得るが、「このタイミングから好きになった」「このタイミングで自分が恋愛感情を持っている自覚を得た」はあるハズであるし、何か恋愛に納得のいく理由は欲しかった。

・もう桜島麻衣が見られないという、桜島麻衣ロスト。アフターを描かれただけに、主人公に不用意に深く感情移入してしまったせいで、最高に性格の良い、最高に可愛い、最高に声のいい、最高にエロい彼女をロストした気分になる。

 これが一番、一番つらい。

 本当に許さない。

 一生見せろ。


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コーラを飲ませていただきたい。コカの。