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雪中梅 上編・下編

雪中梅せっちゅうばい 1886(明治19)
末広鐵腸すえひろ てっちょう 1849〜1896

特選名著復刻全集 近代文学館

末広鐵腸 37歳。政治小説「雪中梅」。

本の表紙の色はふんわりやさしいパステルブルー。字体、タイトル周辺には流れるようなお花模様。政治小説?!という印象です。

朱子学を学んだ後に陽明学の教授、ジャーナリスト、自由党の衆議院議員(板垣退助が結成した日本最初の政党)とパワフルに活動していた鐵腸。


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末広重恭しげやす (=鐵腸)

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1888年に海外旅行へ。

サンフランシスコ行きの船内で、フィリピン独立運動の国民的英雄、ホセ・リサールと親しくなり、予定を変更してリサールとともにロンドンへ!よほど意気投合したんですね。このとき、鐵腸39歳、リサール27歳。

実はリサールには乗船前にお付き合いしていた「おせいさん」という日本女性がいたのですが、フィリピンの独立運動という目標のために彼女と別れ日本を後にしたそうです。

数年後の1891年。鐵腸はリサールをモデルにした小説「南洋之大波瀾」という小説を発表。

気になるホセ・リサールのその後ですが、1896年にスペインで逮捕されマニラでの軍法会議のあと銃殺刑に・・まだ35歳でした。

偶然かもしれませんが、鐵腸、リサールともに1896年にこの世を去っています。

ひょっとして鐵腸とリサールはソウルメイトのような存在だったのでは?とふと思いました。鐵腸の小説「南洋之大波瀾」とまるで5年後を予測しているかのようで・・

世の中、たまたま偶然ということはない。偶然にはなにか意味があるのかもしれません。

*日比谷公園:リサールの銅像があります

鐵腸のことを調べていたら、ホセ・リサールについて知ることができました。
フィリピンの人と話す機会があったらぜひ聞いてみようと思います。