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明治 近代文学 名著復刻版

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1868〜1912(明治元年〜明治45年)
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#スキしてみて

東京方眼図

森鴎外 47歳。 東京方眼図は、一枚ものと区分別合冊「帖仕立本」の二つ。(以下の写真) 左が一枚もの。中に折り畳まれた状態で入っています。取り出すのが大変だったので諦めました😞 右の細長い紺色が帖仕立本といわれるもの。持ち運びのために細長くしているのだと思いますが、それにしてもページが細長すぎて広げにくいー。 まずは町名をチェック、それから地図のページを見ます。 立案者 森 林太郎(鴎外) 発行所 春陽堂 ところでこの小さなマップ本、とてもスタイリッシュ!お馴染み

発展

岩野泡鳴 39歳。詩人から小説家へ。 厚めの大きい本。ソフトカバー。 口絵や挿絵がなく文字のみ。全体的に質素な感じです。 「はしがき」と「人物紹介」の文字は濃いめのブルーグリーン ・・・ ほぼ自伝小説である「発展」🙂 ・・・ 著者 岩野泡鳴 *著作者→著者へ。 発行所 実業之世界社 ・・・ 女性関係、訴訟、心中未遂、田山花袋との対立、「発展」の発禁(風俗扱い)、 北海道での事業の失敗など強い個性と行動力の持ち主。腸チフスのため47歳で亡くなります。波乱万丈だけ

長塚節 33歳。歌人、小説家。 茨城の中学校を病のために中退後、正岡子規の門下へ。 夏目漱石の推薦で朝日新聞に連載後、春陽堂から出版。農民文学として最もすぐれた小説といわれています。 大きめの本。大きな花の口絵が印象的でとてもステキな本です。 ◎表紙 鳳仙花 ・・・ ◎扉 おだまき ・・・ ◎漱石の序文 16ページ 貧しい農民の陰惨な生活の話。人間の本質が書かれている。 ・・・ 著作者 長塚節 出版所 春陽堂 32歳で結核を患い東京、福岡、京都で治療をし

刺青

谷崎潤一郎 25歳。 The Tattooer(英訳) 神童とよばれた谷崎潤一郎の耽美主義小説。 籾山書店から出版された胡蝶本、蝶の柄が特徴。地味なベージュの箱から出すとあざやかなオレンジ色の本にちょっと驚かされます。 著作者 谷崎潤一郎 発行所 籾山書店 まだ作家になったばかりの頃の短編小説です。

思ひ出

北原白秋 26歳。歌人、詩人、作家。校歌や社歌などの作詞。 サイズは小さめで厚め。持ち運びには便利。 紙質がよく全体的に上品な雰囲気。一生手元に置いておきたくなるようなおしゃれな本です😊 O*MO*I*DE というのもステキ ダイヤのクイーン。旧約聖書に出てくるヤコブの妻、ラケル(レイチェル)。よく見るとお花を持っています。 ・・・ 白秋の故郷、福岡県柳川市の言葉だそうです 著者 北原白秋(本名は記名なし) 発行所 東雲堂書店 北原白秋は校歌や社歌も多く作ってい

お目出たき人

武者小路実篤 26歳。 ソフトカバーで持ちやすい。濃いめの赤の表紙が印象的❤️ 装丁は画家、有島生馬。有島武郎の弟です。 文庫本をちょっと大きくしたようなソフトカバーの本。文字が大きく読みやすい。 左ページ最後の行:「口絵はクリンゲルのエツチング集インテルメチーの序畵である」 20代半ばの主人公が近くに住む女学生に恋をし告白。でもあっけなくフラれて終了という話。じつは実篤自身の体験をもとにしているとか・・ この本をちょっと読んでみたんだけど、不思議なことに「note

一握の砂

石川啄木 24歳。 薮野椋十(=朝日新聞社会部長の渋川柳次郎) 友人の宮崎大四郎、同郷の金田一京助に歌集を捧ぐ 亡児眞一に手向く(夭折した長男) 著者 石川啄木 発行所 東雲堂書店 おだやかな風貌の啄木ですが、金欠と遊びで波乱の人生。早い年齢での結婚で所帯持ちになりながらも職や住む場所も点々と人生ハードモード。周辺も家族も大変・・ 繊細そうな歌からはイメージしづらいですが、でもそういった過酷な環境下だからこそ書けたのかなと思ったりもします。

遠野物語

柳田國男 35歳。日本の民俗学者。 岩手県遠野郷の民間伝承。佐々木喜善より聞く。 ページをめくることができないアンカット本。ペーパーナイフでページをカットしながら読み進めるタイプです。 学校の教科書のような本。口絵、挿絵がなく文字のみでいたって質素でシンプルです。 外国に住む日本人へ(内省してほしいという気持ちをこめて) ・・・ 文明開花で忘れ去られていった自然や神々への信仰 著者 兼 発行者 柳田國男 自費出版 ・・・ 若い頃には国木田独歩や田山花袋との交流

NAKIWARAI

土岐哀果 25歳。歌人、学者。 ローマ字ひろめ会刊 本のサイズは小さく32ページしかないのでとても薄いです。ただ、ハードカバーなので小冊子という感じではありません。 ◎歌集の特徴 ・ローマ字(ヘボン式) ・一首を三行に分ける ・・・ 著作者 土岐善麿(土岐哀果の本名) 発行所 ローマ字ひろめ会 石川啄木に影響を与えた「三行書」。また、お互い友情を深めそれぞれの名をとった「樹木と果実」という雑誌を企画していたこともあったそうです。

うた日記

森鴎外 45歳。 日露戦争に従軍しているときの詩歌集。 挿絵がたくさんあって詩歌のイメージがしやすいです。 ◎挿絵◎ 葦原緑子 久保田米斎 寺崎広業 樹木を想像させる「茶色と年輪」 ストライプがまるで森林のように見える 主なカラーはグリーン🌿 「即興詩人」と似ています 歌でなく「うた」 本のサイズは小ぶりなんだけど、紙質が厚めなのでちょっと重いかなぁ 横から見て色付きページが挿絵 著者 森 林太郎(鴎外) 発行所 春陽堂 ◎春陽堂書店◎

あこがれ

石川啄木 19歳。はじめての詩集。 透け感のある表紙カバーにもイラストが描かれています。 与謝野鉄幹主宰の文芸誌「明星」に応募し注目される。 序詩(はじめに)、文学士の上田敏。 ・・・ 尾崎行雄(東京市長)への献辞。 故郷の山河(岩手県)に捧ぐ。 まだ二十歳になっていない才能あふれる啄木。 ・・・ 70ほどの多彩な詩。19歳でこんなに書いていたなんて😮 ・・・ 「マカロフ提督追悼の詩」。日露戦争の敵将に向けての哀悼を書いています。当時の日本の国粋主義とはちょっ