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大正 近代文学 名著復刻版

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1912〜1926(大正元年〜大正15年)
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#近代文学

大津順吉

志賀直哉 34歳。白樺派を代表する小説家。 最後の「著作者、発行所」のページがアンカットになっているため、写真を撮ることができず・・。なので中をちょっとのぞいてみました。 本の第一印象は「質素」。ただアンカット本なのでやはり「特別感」があります。 あと、前回ご紹介した「留女」。こちらの表紙も落ち着いた無地(ライトグレー)になっています。志賀直哉はシックでシンプルな装丁が好き?なのかな。

羅生門

芥川龍之介 25歳。 羅生門、鼻など14作品の短編集 「羅生門」は今昔物語(巻二十九)を題材としていて、テーマは「生きるためのエゴイズム」。 当出版の2年前に漱石死去。 漱石が龍之介の「鼻」を絶賛したことにより、作家として注目されるようになった。 目を引く青と黄の組み合わせ。布を貼ったカバーで手になじみやすいです 著作者 芥川龍之介 発行所 阿蘭陀書房 ・・・ 25歳でデビュー、35歳で服毒自殺。友人の菊池寛に遺書、枕元には聖書。あまりにも早くこの世を去ってしまい

碧梧桐句集

河東碧梧桐 43歳。俳人。 同郷の正岡子規より俳句を学ぶ。高浜虚子と並び称される俳句革新運動の代表的人物。 季題別(春夏秋冬)、1399句を収録。 著作者 大須賀績(大須賀乙字の本名)俳人、俳論家 発行所 俳書堂

あらくれ

徳田秋声 44歳。自然主義。 強くたくましい「あらくれ」女主人公、お島。 結婚当日に逃げ出し自由を手にする。とはいってもなにかと苦労が続くけれどたくましく生きていく主人公。 着物ではなく、身軽に動ける服を着て自転車で駆け回る🚴🌬  布地柄の箱がとてもおしゃれ。傷が目立ちにくいのもいいですね。 著作者 徳田秋声 発行者 新潮社  ぜんぶ・・・読みたい。

すみだ川

永井荷風 36歳。 少年時代に見た隅田川を思いながら書いた小説。 幼馴染の女性が芸者になり、なんとなく距離感を感じてしまう少年の葛藤。 ・・・ 装丁は橋口五葉。→「吾輩ハ猫デアル」の装丁も手がける。 すみだ川の「みやこ鳥」 中編小説。薄めでソフトカバー すべてのページにつばめ(上)と魚(下)のイラスト ほのぼのとさせられる挿絵、深緑色で目にやさしい🌱 ふりがなのついた大きめの字。上質な紙でめくりやすい。 著作者 永井荷風 発行所 籾山書店 ◎同じ発行所、籾山書店

日本橋

泉 鏡花 41歳。小説家。 日本橋の花柳界に取材。書き下ろし小説。 美術作品として鑑賞もできるアートのような本。 本の装丁は小村雪岱。「日本橋」をきっかけに泉鏡花との親交が始まる。 著者 泉 鏡太郎(鏡花) 発行所 千章館 ・・・ 泉鏡花といえば「高野聖」。高野山の僧侶が旅の途中で知り合った若者に聞かせる不思議なストーリー。 ワタシも知りたくなったので(笑)さっそくamazonで見つけた漫画をダウンロード。読み始めましたが….続きが気になって仕方がない🙂 ここだ

赤光

斎藤茂吉 31歳。 歌人、精神科医、短歌結社誌「アララギ」の先駆者。 ◎はじめての歌集「赤光」 口絵、挿絵は木下杢太郎 ・・・ ◎有名な歌  ・・・ 著者 斎藤茂吉 発行所 東雲堂書店 クリームベージュのカバーをしたままだと地味な感じですが、カバーをとると鮮やかな朱色の表紙❤️ 大きすぎず小さすぎず、ちょうどよいサイズの本です。

東京景物詩 及其他

北原白秋 28歳。 本体が紫色、金色の線。全体的に落ち着いていて大人の本という感じです。 書籍用グラシン紙のカバー  背表紙には本のタイトル付きシールが貼られています。 この本の特徴はふたつ。 ちなみにこの本のアンカットですが、数ページごとに設定されています。なので、すべてのページをペーパーナイフでカットする必要はありません。→カットする時間が減ってちょっと楽になるかも!? ・・・ 口絵:木下杢太郎 ・・・ 著者 北原白秋 発行所 東雲堂書店 東京景物詩はの

ソライロノハナ

萩原朔太郎 27歳。詩人。 自筆歌集の「ソライロノハナ」。 和紙で綴じられている小さな素敵な本です。 ソライロノハナ 1913.  空色のリボン 紫の綴じ糸 ・・・白色の紙とのコントラストが美しい。 「空いろの花」 写真は朔太郎自身。利根川べりで撮影されたもの。 自叙傳(伝)。 薄紫色のマーブル模様紙が空想の世界へと導く。 優しさを感じる繊細な字体。 手づくり感にほっとする詩集。 みているだけで落ち着くセラピーのような本。 裏表紙の真ん中に、てんとう虫(幸運

珊瑚集

永井荷風 34歳。 訳詩や評論などをまとめた本。 本のタイトル「珊瑚」のように、コーラル色「赤、白、ピンク」がメインカラーです。 本のページ上部分には「天金」の装飾。重厚感を出したりページを保護してくれたり。 著作者 永井荷風 発行所 籾山書店 籾山書店といえば、谷崎潤一郎の「刺青」の発行所。こちらは蝶柄の胡蝶本です。 ・・・ 大学でフランス語を教えていた永井荷風。授業中の雑談がよかったというエピソードが・・ということは小説もおもしろそうですね。

留女

志賀直哉 30歳。 志賀直哉の祖母、留女。親の子育て方針により祖父母に育てられたとか。 けっこう重みがある言葉ですね・・ あと、志賀直哉と父親の長年の確執。若いときから何をやっても父親に反対される。そして家出。各地さまざまな場所に移り住む・・・とはいっても、そのおかげで「城の崎にて」などの名作が生まれたわけですが☺️ 実話に基づいた「和解」という小説を読むと志賀直哉の親に対しての心境がわかるかもしれません。 著者 志賀直哉 発行所 洛陽堂 悩ましい親子関係。ちょっと

千曲川のスケッチ

島崎藤村 40歳。 小諸時代の回想、出会った人々、千曲川周辺、長野や飯山への小旅行などのエッセイ集になっています。 「この書を吉村樹君に呈す」・・・吉村樹は藤村の歳下の友人。 著作者 島崎春樹(藤村) 発行所 佐久良書房 ・・・ 小ぶりのサイズ。深紅のハードカバーで落ち着いた感じです。なんだか・・疲れたとき、ほっとしたいとき。この本を読むと心が和みそう。 後日、ゆっくり読もうと思います☕️