第22回 紫檀楼古木
前回、。(まる)のイラストは、サキさんと一蔵さんに対する。の印象がテーマ!仮面の下のサキさんの表情をみなさんも想像してみて下さい。そして、一蔵さんの高座をぜひ見に行って下さい!
次回の。(まる)のイラストは、18日(木)に公開予定です。
今回の伝言ゲームのテーマは春風亭朝枝さんの「紫檀楼古木」です。
○落語会
日替り昼席
会場:連雀亭
神田須田町にある二つ目さんの定席。
よくお世話になってますm(_ _)m (笑)
本会は全ての演者さんも驚きの大入り満席!
しかも、女性が7割!
さらに、みなさんよく笑いよく聴く!
お客さん一人一人が演者さんと会場を盛り上げる素敵な会だった(^^)v
○演者、演目
立川談吉 野ざらし
春風亭朝枝 紫檀楼古木
三遊亭ふうじ丈ターミネーター初天神神田紅佳 お富与三郎
談吉さんは軽い高座でしっかり笑いをとり、会場の雰囲気が明るくなる。開口一番らしく、ネタは釣り場を変えるキリのいいところまで。
ふう丈さんは両脇をほぼ地肌まで刈り上げたモヒカンスタイル(※)で登場。
ふう丈:(前2人の高座を指して)江戸の風(※2)を堪能してもらったところで……
観客:大爆笑!
会場の一体感が深まったこのやりとりの後、いつもの爆笑高座。
紅佳さんはいつもの元気のいい明るい高座!贅沢な4人の会を華やかにシメてくれ、大満足(^^)v
※ ふう丈さんのモヒカンスタイル:落語家さんは老若男女、様々な身分を1人で演じる。そのため、印象の強い風貌を好まない。メガネをかけたり、髭を生やす姿も稀だ。この日は、「YouTubeドラマの演出のため」と本人から説明があった。しかし、今回の演目ターミネーター初天神を演る分には、むしろ相応しい髪型思えた。
※2 江戸の風:落語界の巨人立川談志師匠が、晩年「談志最後の落語論」で触れた言葉。『落語とは何か?』に対する談志師匠流の答えと(僕が)認識している。談吉さんは立川談志の最後の弟子。また、朝枝さんは「江戸の風」が吹く中、高座にあがる芸風と(僕は)思う。
→会場の沸き立ちから想像するに、ふう丈さんも会場も僕と共通認識を持っていたと思いたい。
○ゲームのテーマとした演目
春風亭朝枝 紫檀楼古木(したんろう ふるき)
「紫檀楼古木」は初めて聴く演目。
“人は見かけによらなぬもの”の諺から作ったような演目。物語前半はヒーローが能力を隠し、終盤でその実力を発揮して物語を締めるタイプの演目。左甚五郎の登場する演目(※)と似たものを感じた。こちらの演目はフィクションとして、ポップで華やか!夢や希望もある。一方、本演目は現実的で地味な印象。時代背景や人物描写の繊細さが求められ、より高い技量や工夫が必要な演目に思える。令和の世、キセルの説明まで必要だ。実際に朝枝さんによれば、羅宇屋という職業は二十数年前に途絶えたとのこと。
朝枝さんが二つ目に昇進したのは2020年2月中席。
ググッてみると、朝七(前座名)の頃から楽屋内やファンの間で高い評価を得ている。(( ˘ω ˘ *))フムフム
登場して座布団に座り、お辞儀をする姿。
落ち着きのある高座姿。
わかりやすいキセルや羅宇屋の説明。
情緒漂う羅宇屋の掛け声。
品と教養はあるが、それが過度ではないご新造。
おっちょこちょいだが主思いの女中。
→この女中さんだけ浮かれたキャラで噺のアクセントになっていた。
みな素晴らしい!
そして、無言の芝居。
この日は羅宇屋古木がキセルの修理を終え、最後に息の通りを確認する所作を無言で演った!突然の沈黙に会場全体が固唾を呑む!
シゴトの丁寧な職人、シゴト同様実直な古木の人柄が頭の中に浮き上がる。職人特有の神経質さや気難しさはない。シゴトにも人柄も誠実な職人の姿。
この演技の効果で、古木から歌を差し出す行為やサゲが嫌味にならない。
たくさんの引き出し、それらが絶妙にブレンドされた高座。
朝枝さんの次の高座を聴きたい!
※左甚五郎の登場する演目:竹の水仙、三井の大黒、ねずみ等。これらは寄席や落語会でも比較的演じられることが多い印象。甚五郎は江戸や明治時代の有名人?なだけに、大大名や大店が登場したり、木彫りのねずみが動いたり喋ったりする。「紫檀楼古木」に比べ、タイピカルな登場人物、脚色の多いストーリーに感じる。
朝枝さんHP
〇まとめ
・朝枝さんの落ち着きある高座姿。
・次の高座も聴きたくなる魅力溢れる高座!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?