すたんど・ばい・みー
友人:先日、自転車に乗れるようになった息子が妻とショッピングセンターに買い物に行った話を目を輝かせて聞かせてくれたんだ。
僕:かわいいな。小さい頃って、新しいもの、初めて見るもの聞くものが多くてワクワクしたなぁ。心が弾んだなぁ。
友人:でも、大人になると新しいものは怖さとワクワクの両方だな。まず、警戒が先に来ることが多くなる。
僕:たしかに。 ......ん!?
友人:どうした?
僕:ちょっと、思い出したことが(苦笑)
友人:何?
僕:「Stand By Me」って、映画観たことある?
友人:あぁ。観たことある。いい映画だったような気はするけど、詳しいことは覚えてないなぁ。少年達が彼らだけで冒険する話だっけ?
僕:そう。少年達が冒険に出て、様々な経験からいろんなことを感じて、いろんなことを考える話。かな? 映画自体は中学生の時、一度観たきりなんだけど。なんか印象的で。
友人:ウチの息子の話で思い出した?
僕:そう。ってか、その映画を観た数年後に僕が経験したことを思い出した。
僕:「Stand By Me」で少年達が冒険を終えて帰途につくシーンがあるんだけど、そこでのセリフが印象に残ってるんだ。”街が小さく見えた”的なセリフ。現在は大人の語り手がかつて少年だった自分の気持ちとして、ナレーションに入れてる。
友人:なるほど。冒険後、少年が自身の成長を感じ、それを大人になった自分が少年の自分に言わせているってこと?
僕:そうだね。ただ、成長という言葉は明るいイメージだけじゃない。さっき、お前が言ったように恐怖や人の醜さ、なにより見ているようで見えてなかった身近な現実を知った冒険だったからね。後のシーンで、かつて少年だった語り手は『あの時の様な友達はもうできい』的なこと言っちゃてるし。
友人:そっか。それで、苦笑い?
僕:いやいや。それは違っててwww 自分の恥しい過去を思い出したから。
友人:恥しい、って?
僕:映画を観てからしばらく”街が小さく見えた”の世界観にロマンを持ってたんだけど、現実がそれを見事に壊してくれて、さらに、ロマンの瓦解が飛行機の中で起って、隣の人に顰蹙(ひんしゅく)を買ったことを思い出した、ってこと。
友人:何言ってるかわからんな。この先聞いて笑えるはなし?
僕:僕は笑えるけど、他の人は面白くないかも。
友人:わかった。聞いてからリアクションするw
僕:就職して2~3年経った頃かな。夜の便の飛行機で帰省した時、着陸前に何気なく窓の外を見たら、空港に隣接する街の灯が以前より広がってて、高層の建築物も明らかに増えて、彩(いろどり)も多様になってたw、都内で見る看板も増えてたw
友人:www なるほどw
僕:で、ふと「Stand By Me」を思い出して、あれっ!?ってなった後、自分の経験速度と世の中の発展速度を比較して......我に返ると......”街が小さく見えた”にロマンを持っていた自分に気が緩んで土俵の違うもの同士を真面目に比べようとしたバカバカしさが可笑しくて、声を出して笑ってたwww
友人:そりゃ笑えるねw 一人厨2の世界に浸って世間様に喧嘩売ってる奴いるしwww 隣の人はただの迷惑だしw なにより隣の人に妥当に軽蔑されたお前の顔を想像したら...笑うしかないwww
僕(心の中で):よかったw 50になって、笑いを共有できる友がいた。
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