世界との関わり 国際標準化(2)

国際標準化を行っている,国際団体は,先のnoteのように大きく3つの団体がある.1)電気関係,IEC(International Electrotechnical Commission),2)通信関係 ITU(International Telecommunication Union),3)それ以外すべてISO(International Organization for Standardization)

1)電気関係 IEC(アイイーシー)(International Electrotechnical Commission) (https://www.iec.ch/index.htm)(1906年に,そのころ開発が急速に進んできた電気関連の技術の国際的な標準規格を作ろうとして,イギリスで発足した(発足当時の13か国:アメリカ、イギリス、イタリア、オーストラリア、オランダ、カナダ、スイス、スペイン、ドイツ、日本、ハンガリー、フランス、ベルギー).そのころは電気関連の技術,発電機,送電,電灯,電動機などが急速に発展しており,それらを国際的にスムーズに発展するために,それらを取り巻く規格,仕様,用語などを国際的に統一しよう,という機運が高まっていた.まさに電気の工業利用が発展しはじめた時期であった.その時期の有名な電気エンジニアには,エジソン,テスラ,ファラデー,ケルビン,マルコーニなど,電気通信の創成期を造った偉大なエンジニアがいる.IECのメンバーは,National Committee,と呼ばれる,各国を代表する会議体である.日本では,経産省の配下に”日本産業標準調査会”(JISC)呼ばれる審議会があり,JISCがIECのメンバーである.

2)通信関係 ITU(アイティーユー)(International Telecommunication Union) (https://www.itu.int/en/Pages/default.aspx)  1865年に,国際的な通信をスムーズに行うために,International Telegraph Unionが発足した.当初はモールス信号,ついで音声信号の無線通信について,国際的に協調して通信が行えるよう,規格の制定を行っている.1900年にはラジオ放送の実験が始まったことを受けて,国際間の協調を行うため,1906年にはInternational Radiotelegraph Conferenceが開催され,国際間のラジオ放送の規格などについて話し合いが開始された.その後,1932年にInternational Telecommunication Unionとして,通信の標準化を行うようになった.さらに,1947年には,UNの一機関として活動することになった.ITUのメンバーは,国,私的機関(企業)及び大学である.日本からは,20以上の団体,企業,大学が参画している.

3)国際標準化機構 ISO(アイエスオー,イソではない)(International Organization for Standardization)(https://www.iso.org/home.html)   1926年に設立された万国規格統一協会(ISA: International Federation the National Standardizing Associations)があったが,第二次世界大戦のために1942年に活動を中止した.1947年に新たに国際標準化機構(ISO)が創設された.取り扱う範囲は,上述のIEC(電気関連のみ),ITU(通信関連のみ)とは異なり,国家間の産業に関わる全ての分野の標準化を行っている.ISOの設立の趣旨は,'to facilitate the international coordination and unification of industrial standards',であり,国家間の産業が協調して活動できることを目標としている.ISOのメンバーは,IECと同じく,各国のNational Committeeがメンバーである.日本からは,IECと同じく経産省下の審議会であるJISCが参加している.


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