献血で王になれ

6月3日、献血に行って参りました。
最寄りの献血ルーム(車で40分)はそばに古本屋があり、そこで本の買い取り査定をしてもらう間に献血しようという作戦でした。
なんて効率的なんでしょう。わたくし時間の使い方が上手すぎ侍ですね。

献血ルーム。どのような場所かご存じでしょうか。
献血は献血バスでやったことがあるよーって人はまぁまぁいそうですが、献血ルームにわざわざ足を運んで血を吸ってもらおうって方は稀な気がします。
なのでざっと説明しますと、献血ルームは誰もが王になれる場所です。
大体どこもジュース飲み放題、マンガ読み放題、wifi完備。暖かいし清潔。
イスやソファで存分にくつろいでくださいと言われます。
場所によっては、お菓子なんかもあります。わたくしが今回行ったところはアイスの自販機がございました。
いわゆるマンガ喫茶に近いのかもしれませんね。ですが献血ルームのそれらは、全て無料です。
これはもはや王ではないかと。くつろぐことを唯一の絶対とする場所、玉座ではないかと。あぁ王よ、存分に休息なされよとスタッフに何度も言われます。そりゃもう何度も何度も言われます。
血ィ抜いたあと、倒れられちゃ困りますからね。


わたくし献血は11回目。まぁまぁベテランです。
前回の10回目には、記念の贈答品などをこんもり頂きました。もう皿やらティッシュやらサランラップやら献血車のミニカーやらもう、すごいのなんの。紙袋パンパンにもらいました。
私、血を抜いただけなのにこんなに良くしてもらっていいの?
いいんです。王ですから。
献血王、結構慣れたものなのです。
ホイホイホイと窓口で手続きをして、先生から問診を受けて、採血をしてもらいます。
「いつもどっちの腕から採ります?」
わたくし淀みなく返事できます。
「左腕の、ここの血管です」
もはやどっちの腕とかじゃなく、血管まで指定できます。王なので。
消毒してもらって「チクッとしますよ~」なんて言われてちょい太めの針を、例の場所に刺してもらいます。ちなみに王は、身体に針が刺さるトコ見られないタイプの王です。
一般成人男性なので400㎖抜きます。しかも血液型はO型。万人に輸血可能なハイオク血液です。採血スタッフの方、たいへん喜ばれます。
そう生まれただけなのに感謝してもらえるので、自己肯定感が増します。王家に生まれ、無条件に召使いたちにかしづかれる嫡男の気分とよく似ています。献血ルームは王になれる場所です。

ということで、わたくしはもうイスに横になって血が抜けていくを待つだけの段階です。大抵の方であれば、400㎖抜くのに10分~20分程度でしょうか。
スタッフさん、わたくしの針や機械をいそいそ調整し始めます。
「ちょっとごめんなさいね~」なんて言いながら、針の角度を変えたり、腕の締め付け場所を変えたりします。
「大丈夫ですよ~」
なんて王は愛想良く答えながら、ふふっと忍び笑いを漏らします。全て分かっていました。

王、血が抜けるのがめっちゃ遅い。

分かってます。他の献血ルームでもそんなことありました。
たぶん血管が細めで、血圧もそんなに高くないんですね。
体温低めだったりして血の循環が遅いみたいです。
そのままだと平気で30分くらいかかるペースだと思われます。
早く終わるに越したことはないので、スタッフさんは私にあれこれ持ってきてくれます。
まず水分。スポーツ飲料ですね、これを飲んで血を水っぽくしろと。
次に毛布です。今回は腕1枚、身体に2枚。合計3枚かぶせてくれました。あたたかいと血の巡りが良くなります。
カイロをレンジでチンしてお腹に置いてくれた時はもう、スミマセンの域ですよね。お手数おかけします。私も血も両方マイペースでスミマセン。いずれ!いずれ必ず血は抜けますので平にご容赦を!ははーっ!
流石に恐縮しちゃいますね。


そんなこんなで結局、20~30分かかって血を抜き終わりまして。
エントランスでバニラアイスとホットココアをコンボして休んでたんですが、ケータイを見ると古本屋さんから鬼電かかってきてました。とっくに査定は終わってたみたいです。全然、時間有効活用できてませんね。
7冊売れて、70円でした。
駐車料金がサービス券込みで100円でしたので30円の赤字です。


……まぁ血ィ抜いて、アイス食ったからいっか!
そんなポジティブさと自己肯定感が得られる、充足のひととき。This is 献血ルーム。
あなたも一度、いかがでしょう?




















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