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私的エゴとの付き合い方 その②

あぶないあぶない。犬のさんぽの話で終わるところだった。「私的」というからには、私なりのエゴとの付き合い方も書いておかねば。

大好きな神ってる系アーティスト藤井風くんの「罪の香り」という曲の中にこんな一節がある

エゴはやかましいのよ

ちょっとお席外しといてよ

誰も 何も 座れないとこ

神聖な場所 もう邪魔でしかないの


もう本当に同意しかなくて、このやかましいエゴの声をどうやったら消せるのか、山にでも修行にいけばいいのか?と半ば本気で考え出していた昨今。しかしあるタイミングでふと「あれ?ちゃいますやん」と気づく機会があったのですよ。

それはとあるイベントにて、数十名のお客様の前で公開セッションを行うコーチとして登壇したときのこと(つい先日の話です)。

登壇する何週間も前から、緊張でお腹は痛いわ、動悸は止まらないわ(求心)、情緒不安定だわ、笑。お世辞にも平常心とは言えない状況で、日一日と本番は近づいておりました。

私の中に渦巻いていたのは、「うまくできるだろうか」「下手こいてみんなにがっかりされないだろうか」「迷惑かける前に辞退すべきじゃないのか?」「いやいや、なんとかうまく感動のセッションに仕上げてすごい!と言われたい」などなど。まあ、出るわ出るわ、俗っぽいエゴしら2:50なつぶやきの数々。こんなもんが渦巻いてたら、セッションなんてうまくいくわけがない。お客さんどころか、クライアントさんにも自分の心にも届かない空虚な時間になってしまうのは間違いない。そう思い、さらに焦りはつのる。 

大体、私はもともとアガリ症で、授業中、席順に教科書の朗読が回ってくるような場面でも、だいぶまえから自分の番を数え、心を落ち着かせようとするものの、そうするほどに口は乾くし、膝は震えるし、心臓はメタルなみのBPMで激しいビートを刻むしで結局、ぶるぶる震えながら蚊の鳴くような声で朗読をなんとかやり終え、グッタリと机になだれ込むというヘタレっぷりだったのです。

そんな私がみんなの前で、エラソーに公開セッションだなんて!もうこの世の終わりかと思うような一大事。

まあ長年のヘタレが数週間で解消されるわけもなく、結局何にも解決しないまま、当日朝を迎えてしまったのでした。


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(公開処刑直前のワタクシ)


しかし会場に入り、これから何が起こるのかという期待と不安の入り混じったお客さんの目を見た瞬間、私のなかで何かのスイッチがカチリとハマったのがわかりました。

相変わらず心臓は早鐘のように打っている。下手こくくらいなら今すぐ逃げ出したいという気持ちも消えない。どうにかして結果を残して名を上げたいという功名心もいやらしくチラついている。

でも、今まで消そう消そうとしていた、そんなエゴまみれの感情に、「いたければいればいいさ!」とただただ男前にGOサインをカマしているもう1人の自分が突如現れたのです。

心臓、打ちたければ気が済むまで早鐘のように打てばいい。膝が震えて今すぐ逃げ出したいという臆病さも、堂々と居座ればいい。うまいことやって尊敬されたいという見栄も、抱きたいのだから抱いていればいい。

ジャッジなしにただそう思えた。

すると、それらのエゴが消えたわけではないのですが、不思議と彼らのおしゃべりのボリュームが下がり、心に久々の静寂が訪れたのでした。

無理に追い出そうとしているときには、追い出されまいと必死で大騒ぎしていたやっかいなパリピの友人たちが、「もういいわ、好きにやりな」と言った途端に溜飲を下げて大人しくNetflixを見出したような、そんな心のリビング状態に突入したのです。

するとあとはただ、この瞬間、目の前の相手との共同創造の時間をただ貪欲に楽しもう、という意図しかなくなり、気づけばクライアントさんの瞳以外わたしの意識には入ってこなくなったのでした。

公開セッションの結果が第三者的にみて良かったのか悪かったのか、そんなことはもはや私にとってはたいして意味をなさず、ただあのとき、クライアントさんとの間に交わされた言葉にし難いエネルギーの交換の手応えだけが、私にとっての何にも代え難い宝物となったのでした。

そして私の中に「なるほどね」というたしかな感触がのこりました。

心を部屋みたいなものだと考えるならば

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エゴは自分のダメさもだらしなさも隠すつもりのないのび太くんみたいなものだな、と。

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自分としては、できるだけスタイリッシュでいたい。せめて、しずかちゃんの前でだけは、出来杉くんでいたい。漫画を片付け、0点のテストは隠して、整然とした部屋で、カッコよく宿題を仕上げていたい。

でもね、いるのですよ。確実にあのスーパーエリートニートなのび太氏が。

もはや、のび太こそワタシだ


努力や謙遜、ストイックに自分を追い込むのが大嫌いで、できるだけ楽に最大の得を手にしたい。

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そんなずる賢さを隠そうともせず、何度も懲りずにドラえもんの道具を懇願する。

最弱なくせに、スキあらばマウントを取りたがり

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三代欲求にはなんのためらいもなく忠実

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それでも愛されちまう

国民的ダメダメアイドル

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それが、のび太♡

こんなに愛されてるってことは、全国民の心の中にのび太は必ずいるってこと。間違いない。

そんなのび太を心から追い出そうとするから、おかしなことになる。追い出さず、コントロールせず、でも野放図に放置することもなく

ま、同じ部屋で好きにしてていいよ

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そんな距離感で同居すること

これが私が45年かけてたどり着いた(ってほどたいそうなもんじゃないけど)、エゴとの付き合い方の極意です。

それにしてものび太って実は名言製造機なんだね。今回調べて初めて知った。これとかね。

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もう全小学生が「勝訴」って紙もって泣きながら走ってきそうな気がするもん。

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