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アドベンチャートラベルとキャンプ場

北海道オートキャンプ協会が主催する2023年の「全道オートキャンプ場管理者運営担当者会議」に参加した。会議の中で、北海道運輸局観光部の水口猛部長のプレゼンが刺激的であった。演題は「持続可能な旅へ アドベンチャートラベル」。今年、北海道で開催されたATWSと呼ばれるワールドサミットを取り上げ、その総括とも言える報告・レポートだった。

印象に残ったポイント。アドベンチャートラベルの5つの価値。「いままでにないユニークな体験」「自分自身が変わるような旅」「健康的である」「挑戦的なこと」「環境に低負荷であること」。いわゆる物見遊山のツアーではなく、いわば「人生観が変わる旅」であるという点だ。注意すべきは、ここ10年くらいで一般化してきた「体験プログラム」とは少し違うということ。道内で主流になっている体験プログラムは、実はお客側がほとんど挑戦していないことが多い。カヌーにしても、乗馬にしても、ラフティングしかり、熱気球もそうである。ただ、乗っている状態に近い。ガイドが周到に操作をし、安全管理を徹底するがゆえに、乗客は「体験している気」になっているだけだ。挑戦するとは、何がしらのリスクがあることを承知した上で、いくばくかの準備と備えをして挑むものである。それが、ワクワクの源泉だろう。

環境に低負荷であることは、地球にローインパクトであるということだ。実際のアドベンチャーツアーでは、飲料としてのペットボトルもNGであることを知って驚いた。そこまで配慮すべしとの指摘が、耳に残った。なおかつ、自然に配慮していますよ、ということを「説明しているか」と。伝えていなければ、していないのと同じである。取り組んでいることを表現して、アピールしてはじめて相手・参加者に伝わる。ここは盲点であった。

アドベンチャートラベルという分野において、北海道の魅力・優位性は自然度にあると思っているが、実はそうではない。natureよりもculture、文化の方に参加者は感心があるということ。そこに住む人の営み。人の営みによって形成されていく文化・歴史・風習のようなものにふれることこそ、冒険的な旅の魅力だという。笑えない話ではあるが、訪問者である欧米人に、オラが村の一番のレストランということで、イタリアンの店に連れていってもちっとも旅行者は喜ばない。ツアラーが食べたいのは、その地域の郷土料理であり、地元の人が普段食べているものを味わいたい。

キャンプ場とアドベンチャートラベル。同じような分野に所属しているように見えるが、すこし距離が遠い。キャンプ場が地元の旅行会社や観光協会らと一緒になって、宿泊施設の一形態として商品化しなくては、利用されづらい。キャンプ場施設側としては、付加価値をつけて売る。新たな市場を切り開くイメージだと思う。

ATWSを通じて、海外の旅行バイヤーたちが口々に言っていたこと。それは「国立公園」というブランドだという。国立公園だという一定の評価に価値があるそうだ。普段、あまり気にしていない国立公園。規制がやたら厳しくて、というマイナスのイメージすらあるが、近年は「守り」から「利用する」に変わってきている。北海道には6つの国立公園がある。「阿寒摩周」「大雪山」「支笏洞爺」「知床」「利尻礼文サロベツ」「釧路湿原」。どこもエリアとして広い。キャンプ場も、もちろん包摂される。

キャンプ場とアドベンチャートラベル。この接点を探っていきたい。

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