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[読書]解剖 加計学園問題――〈政〉の変質を問う

最近、安倍政権時代の不祥事に関する書籍を読み進めている。
「加計学園問題」とは、学校法人「加計学園」の獣医学部新設の経緯をめぐる様々な疑惑に関する問題のことだ。
複数の大学が獣医学部の新設を申請していたにも関わらず、「加計学園」が選ばれた経緯に関して、「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などとして加計学園獣医学部の新設を内閣府の幹部から強く主張されていたと言うことが当時の文書から明らかになった。
その直前、日本中を騒がせていた森友学園問題と同じように、公平に審査しているように見えてその実、安倍晋三のお友達が利得権益に預かっているのではないかと言うことだ。
当時(今も)森友学園問題は解明されておらず、安倍政権への信用が失われつつあった中、加計学園問題が新しく浮上すると言う非常事態。
なんでこんな情けないのが日本の政府として存在しているのかと悲しくなってくる。

この本は、当時の加計学園問題について「加計学園問題を生み出した背景とその帰結を、規制改革で生まれた特区制度の光と影、変質した政官関係、公文書のあり方、公益のための内部告発など、国会審議や報道の経緯をふまえ、テーマ別にあぶり出す」と言う趣旨の本になっている。

問題が発覚したのは2017年5月17日。朝日新聞が朝刊1面で「総理のご意向」「官邸の最高レベル」などと書かれた文科省の記録文書の存在を報じたところから始まる。
当時、官房長官を務めた菅義偉(前首相)はこれを「怪文書みたいな文書」と一蹴。2日後に松野博一文科相が「該当する文書の存在は確認できなかった」と調査結果を発表すると、前川喜一氏が朝日新聞のインタビューで「担当課から説明を受けた際に示された文書だ」と証言。「あったものを無かったことにできない」と。
これを受け、文科省が追加調査をすることになり、翌月には「総理のご意向」と書かれた19の文書のうち14文書の存在が確認できたと公表。
ここから、問題の真相を野党が追求しようとするも安倍晋三を始め政府与党がのらりくらりとはぐらかし、なんらかの回答をしたかと思えば、その回答を否定するような新しい文書が発見される。都合の悪そうな文書は保存していないと言う。また別の文書が出てくるを1年以上繰り返し、今だに真相は謎のままである。

どう考えても菅義偉氏の「怪文書みたいな文書」がまずい。
朝日新聞のような老舗メディアが何の裏どりもせずに1面に出す訳がないのだからこの時点で傲りが見えてしまっている。
あと、こうやって出来事を読み返すと安倍政権が国会を軽視しすぎているのが良くわかる。
国会が何のために開かれているものであるのか、例え原稿を読むだけの場だとしても事実と違うことを述べては訂正を繰り返してすみませんで済ますような軽い場所ではない事は確かだ。

あと、加計学園問題で酷いのは読売新聞だった。これは購読者だからこそ声を大にして言い続けたいけど、加計学園問題で文書があったと証言した前川喜平・前文部科学事務次官が「出会い系バー」に通っていたと報じたのだ。
(店内で気に入った女性と同席し値段交渉したうえで店外に連れ出していたとも報じられた。)
しかし、この報道はのちに週刊文春が、出会い系バーで前川氏と会っていたという女性をインタビューし、「前川から口説かれたことも手を繋いだこともなく有り得ない」と言い、前川氏が証言した通り、「女性の貧困について実地の視察調査」で出会い系バーを訪れていたことが明らかになっている。

また、実際にお店を潜入取材した記事もある。

この報道は、加計学園問題で世間が騒いでいたタイミングでの報道であり、菅義偉氏が「教育行政の最高の責任者が、そうした店に出入りして、小遣いを渡すようなことは到底考えられない」とコメントしたことから政府の何処かからリークされた情報ではないかという疑惑まで浮かんだ。
もちろん、この記事は「不公正な報道」などと批判を呼んだ。

前川喜平という人物がどういう人なのかわからないが、ここで問題とすべきは彼の告発が真実かどうかであって人柄ではない。
善人だろうが悪人だろうがそれとこれとは全く別の話であり、内部告発者の見せしめにしか見えない。
この記事でわかるのは読売新聞の程度の低さだけだった。

子供がいたらぜひこの本を読ませて現代版オオカミ少年として反面教師にしてあげたい。
この時の与党関係者の受け答えを「ご飯論法」というらしい。

安倍政権時代について書かれた政治の本を何冊か呼んでみると、何でこれで8年も続いたのか不思議で仕方ない。
もう少し色々調べればわかるのか・・・

ちなみに最近の加計学園問題はどうなってるのかと検索してみたらこんな記事が・・・

本当に加計学園に獣医学部は必要だったのか?
高校ならわかるけど、大学はみんな京都とか都会に行きたいんじゃないの?


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