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[読書]嫌われた監督

なぜ 語らないのか。
なぜ 俯いて歩くのか。
なぜ いつも独りなのか。
そしてなぜ 嫌われるのか――。

中日ドラゴンズで監督を務めた8年間、ペナントレースですべてAクラスに入り、日本シリーズには5度進出、2007年には日本一にも輝いた。
それでもなぜ、落合博満はフロントや野球ファン、マスコミから厳しい目線を浴び続けたのか。秘密主義的な取材ルールを設け、
マスコミには黙して語らず、そして日本シリーズで完全試合達成目前の投手を替える非情な采配……。
そこに込められた深謀遠慮に影響を受け、真のプロフェッショナルへと変貌を遂げていった12人の男たちの証言から、
異端の名将の実像に迫る。

「週刊文春」連載時より大反響の
傑作ノンフィクション、遂に書籍化!

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僕は野球に興味がない。
子供の頃からオタクだったのでプロ野球には好きな番組が中止になるという理由で憎しみすら抱いていたりする。
だからニュース番組でもプロ野球の話題になればチャンネルを変えるし、新聞のスポーツ欄など見たことがない。

でも、なぜか名前だけは知っている野球選手というのが何人かいる。
「イチロー」や「清原」「野茂」などがそうだ。
本当に不思議なんだけど彼らには好感を持っていたのも覚えてる。
プロ野球中継を憎んでいるのに。

「落合博満」の名前も現役時代から知っていたが、好感は持っていなかったと思う。これも不思議。
「落合博満」と聞くと太々しい顔でマイクを持って喋っている姿が浮かぶ。笑顔の落合は顔が出てこない。
野球が嫌いな人間が、好感を持てないのに記憶しているプロ野球選手の監督時代を語った本が出ているということに興味をそそられ手にとった。

「落合博満」は徹底したプロだった。
プロの定義を何とするかは人それぞれだから、僕の思うプロの定義を書いておくと”対価で金をもらって生計を立てる人”となる。
「落合博満」の監督時代のチームの順位を検索したら常にチームは上位にいたことがわかる。他の監督はチームが優勝してもその翌年は順位が下がったりするのに「落合博満」の監督時代にはそれがない。
おそらく球団はその”ムラ”も加味して毎年のリーグ順位に応じて年収を上乗せしていく契約をしているんだろうけど落合は毎年成果を出すから、年収は上がり続けるしかない。これは何も悪いことはしてなくて確実に球団の落ち度だけど、球団からは嫌われる。
「落合博満」はチームを優勝に導くために徹底して勝利のみにこだわり、観客を沸かせることを考えない。チームのファンが望む選手でも使い物にならないと判断したら即座に切り捨てる。新人は役に立たないから使わない。
酷いように思えるけど、結果を重視するなら正解だ。
これだけ頭の切れる監督もいないだろうと思う。

それだけに成果と人気が釣り合っていない現在の状況は寂しさを感じてしまう。

野球好きの人が読んだらもっと感じることがあるんじゃないかと思う。
これは名著だ。



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