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[読書]ヒロシマを暴いた男 米国人ジャーナリスト、国家権力への挑戦

原爆の正体を世界中に知らせた、一人の記者がいた。

1946年8月、とある雑誌の特集記事にアメリカ中が騒然となった。第二次世界大戦でアメリカに勝利をもたらした広島と長崎の原子爆弾が、1年後も市民に後遺症と死の苦しみを与えていることを、人々は全く知らなかったのだ。
のちに世界的名著となったルポ『ヒロシマ』は、いかにしてアメリカ軍やGHQの隠蔽と検閲をすり抜け、世に知られるに至ったか。小説でピューリツァー賞を受賞しながらも才気ある記者として活躍したジャーナリスト、ジョン・ハーシーと雑誌『ニューヨーカー』の軌跡を辿る。

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日本の学生なら必ず一度は原爆被災者の声を聞く授業があって、そこで原爆がどれだけ恐ろしいものかということを教育されてきたと思う。

僕も小学生、中学生の時に学校に被災者の方が来て当時の話を聞いていました。
また、広島に原爆が投下された際の様子を映像化した作品も多くてたくさん観ていたので原爆の恐ろしさを未経験ながら十分知っていると思っていたのですが、この本を読んでまだ分かっていなかったと感じました。

当事者から聞く話より、当事者を取材した人について書いた本から伝わる恐ろしさの方がリアルに伝わるのは何だろうか。
多分、間に何人も人を介すことで誤解が生まれるかもしれないけど、距離が遠くなることで事実だけがすんなり入ってくることも理由の一つだろう。
また、当時というか今もだけどアメリカが原爆を正当化している裏で民衆に対して事実を隠そうとしていたという部分のリアルも追加されて一層怖くなったというのもある。

あと、個人的に日本の教育の問題点だと思うんだけど学校の授業で近代史をきちんと習ったことがない。縄文時代から始まってぎりぎり明治で終わってあとは自分で読めというおわり方ばっかりで世界大戦なんてほぼ独学。
そんな状態で原爆の被災者の話だけ聞かせてもらうから戦争というものを理解できていない。
戦争に関しては「戦争反対」でいい。けど殆どの日本人が戦争に反対する根拠として示せるのが戦争被害のみで、でも日本以外の国は大戦以降も戦争を現在進行形で続けてきていて戦争の被害の凄まじさは日本人よりも身をもって知っているし、彼らはでも戦争をしているんだよな、説得力はないのではないかとずっと思っているところがあった。
この本には、当時のアメリカ人の日本に対する憎しみと、真珠湾攻撃に対する恐怖がどれほどのものだったかも書かれており、あまり触れることができなかった戦争の別の面にも触れることができてさらに理解が深まった気がする。

今、横目でロシアによるウクライナ侵攻のニュースを見ていて、あの頃とは違いリアルタイムで情報戦までもが可視化されていて、当時もこういうことをやっていたんだろうなと思いながら見ています。

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