彼の噛みあと 第2話
園子と祖母はレストランを出た後バーに寄って、軽く飲んでから部屋に帰って来た。もう23時を少し過ぎている。祖母はあくびをして、
「ああ、さすがに疲れちゃったわ。私先にシャワー浴びさせてもらうわよ」
「どうぞ、もちろん」
園子はバルコニーに出て、船を前に進める壮大なエンジンの音を聞きながら、暗い海と星空を眺めた。ひんやりとした風を心地よく感じながら、備え付けられている椅子に座り、バッグからiPhoneを取り出した。
(どうしよう‥‥)
園子はもちろん彼にメールをするつもりである。