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どこへ行っても

同じだって思えた、雨あがり散歩の帰り道。

どこへ行きどこに住む。どこにいるどこにいた。そんなことで特別になれるかもしれないと、そんなオプションでもなければ、なんだか物足りなくて心細く感じていたけれど。

どこへ行っても、わたしはこうして。

列をなした鳥が飛べば風を見上げる。夕方色がしみわたる空気を吸い込みたいから、靴をつっかけて散歩に出る。雲ばかり見て冬ばかり待つ。出番の短い三日月が羨ましい。手を繋いだらあたたかい。熱いスープは冷めるまで待てない。虫歯で噛むと痛い。嫌々起きた朝は顔がぱんぱんに浮腫んでる。

住んでみたい場所。自分で、この裸の目で見てみたい。ただ吸ってみたい空気。知りたい。そこに住む人と自分の違わないことを。どこにいても自分の違わないことを。大げさな理由はひとつもない(だからもっともらしい動機を営業用に考える)。

言葉が好きだけどコミュニケーションが好きってわけじゃない。だめだめ言葉は使わなきゃ、ただのツールなんだから、なんて。何、言ってるの?

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