多分彼らに救われた話

昨今、宗教にまつわるニュースが飛び交っている。
その中で、青学が学生に対してその手の団体の勧誘に対する注意喚起を行なっている、というニュースを読んだ。
なるほどなー、そういう世界もあるのかーと思いながら読んでいたのだが、ふと思い出した。



そういや、私も大学時代に宗教の勧誘受けたことあるわ。




と。


さほど大ごとにならなかったし、嫌な思いもあまりしなかったので、すっかり忘れていた。



きっかけは大学入学直後の春。
よくあるサークル勧誘みたいな感じで声をかけられた。



私はベタに、『地方から上京してきてまだ友人もあまりいない大学1年生』だった。
その時も一人で校舎内のベンチに座ってたので、声をかけやすかったのだろう。
あまりその時のことは事細かに覚えていないけど、話しかけてきた人と出身都道府県が同じでバイト先が某黄色いMの店で一緒だ、という話をした気がする。



後日、“そこ”の新歓的な集まりに行って、その後も何回か集まりに誘われた。
私はベタな『断れない日本人』だったので、断れずに行っていた。
集まりで話聞いたり、イベントごとの日に誘われて行ったりしてたのだが、今思い返すと、結構そのまま進んでいきそうな道を辿っている。
だけど、人として付き合うのはいいけど、それは別。と、絶対そのラインは越えなかった。



そんな感じだったので、大学2〜3年の頃には“そこ”の人たちとの付き合いもフェードアウトして、“そこ”との関わりは消えていった。
そして、社会人になり月日を過ごす内に、記憶も薄らいでいったのだ。


ではなぜ、私はラインを越えなかったのか。
その答えはすぐに思い出せた。

あの日、最初の新歓的な集まりの時、通された部屋が狭い借家?みたいな所で、それだけで猜疑心MAXだったのだが、とりあえず話を聞くことに。
で、話の途中でこんなことを言われた。


夢は必ず持たなければいけない。


と。

その瞬間、私の中にある歌が浮かんできた。
ORANGE RANGEの「SP Thanx」だ。
その中で、ORANGE RANGEはこう言っている。


『夢があることが偉いわけじゃない。夢がないから焦る必要はない』(抄訳)


と。

私はこれ以前から、この部分の歌詞に深く共感していた。
高校時代、大学進学は既定路線だったものの、大学卒業後のはっきりとした将来の夢が描けず、モヤッとしていた私にとって、この部分の歌詞は、今の自分を肯定してくれたような気がして、すごく嬉しかったのだ。
あの歌は、確かに私を支える芯になってたんだと思う。


だから、この瞬間に答えが出た。
信条の違いにより、お断りします、と。








まあ、そこからが長かったのだが、結果、トラブルにもならずに記憶の彼方へと放り込まれるレベルの思い出で済んだのだ。


こういう風に今話せるのは結果論だ。
“そこ”が、金銭的な云々があるかどうかは分からなかったし、強引な勧誘もなかった気がする(覚えてないだけかもしれない)。
だけど、どこかでラインを越えていたら、どうなっていたか分からない。
でも、ORANGE RANGEの「SP Thanx」があったから、こんな風に話せる今があるのだ。



まさか彼らも、こんな形で一人の人生を変えたとは、夢にも思うまい。

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