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舞日記二十三 重陽の節句と菊水伝説


平安時代 宮中に伝わった行事に
「重陽の節句」があります。

9月9日に菊の花びらを浮かべた菊酒を
飲んで長寿を祈願する「重陽の節句」は、

後漢時代(1~3世紀)には すでに
行われていた儀式だと言われています。

そのルーツは その時代 800年近くも
生きたという仙人彭祖(ほうそ)。

彼が 菊を薬として常用していた
ことに あるようです。

中国では 菊花は お酒だけでなく 
お茶としても 飲まれているのですね。

また 唐時代の故事 「菊水伝説」は 
平安時代の貴族に とても好まれていました。

その伝説とは 菊花から零れ落ちた露が
集まってできた谷川の水を常飲していた
集落の人々が長寿だった というもの。

「露ながら 折りてかざゝむ 菊の花
おいせぬ 秋の ひさしかるべく」

露ごと菊の花を手折って頭に飾りとして挿そう
老いることのない秋が永久に続くように・・・
(古今和歌集   紀友則 )

この歌も「菊水伝説」に かけて
「重陽の節句」の「菊合わせ」で 
詠われた と 伝えられています。

「菊合わせ」とは 菊の花を愛でながら
歌を詠むこと。さぞかし風雅な宴だった
ことでしょうね。

やがて「重陽の節句」は江戸時代になると
「桃の節句」とともに五節句(今でいう祝日)
の ひとつとして親しまれるようになりました。

五節句は明治時代に入って廃止されましたが
いまでも京都の神社仏閣では「重陽の節句」に
神楽や能の奉納が行われている所があるそうです。

まだ 少し先ですが 今年の 9月9日は 
ちょうど 花女舞の お稽古日に あたるため 

重陽の節句にあやかって その日は 少し特別な 
お稽古にしたいものです。


菊の花を愛でる秋の午後

ここまで 読んでくださって ありがとうございます。

あなたにとって 楽しいことが たくさん ありますように。





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