見出し画像

すべて良し

目が覚めて少しして起きた。
部屋を温め、キッチンを片付け、子どものお弁当を作った。
卵サンドときゅうりとチーズのサンドイッチ、そしてスープ。
お弁当箱に詰めて残ったものを食べた。
子どもを起こし、朝食を食べさせて、練習をさせてから、自主練をするので行く、というので連れて行った。

私は帰宅して、リビングを片付けた。
子どもがお菓子交換をしてもらってきたお菓子を片付け、本を片付け、掃除機をかけ、埃取りをした。
前日に焼いていたスポンジをスライスしてイチゴと生クリームでデコレーションした。

ゲネプロが終わる頃に子どもを着替えさせに行った。
みんな衣装を着ると見違えるようだった。
子どもはステージの上でもやっぱり子どもで、子どもらしいなぁ!と思うことをしでかして、あらあらまぁまぁ、と思った。
始まれば終わるので、終わった。
終わってしまえばもう良いわ!という気持ちになり、早く衣装を脱ぎたいという子ども達を捕まえて写真を撮り、挨拶をして、子どもと会場を出て、途中でドレッシングを買って家に戻った。

エビのサラダを作り、テーブルをセッティングし、空気を入れ替え、部屋を暖め、ツリーのライトをつけた。

気の置けないお客がたくさんの料理とお酒持ってきてくれた。

この1年、ほんとうにいろいろなことがあった。
お客と私たち家族にとって、とても大事な人を亡くした。
そして、その後、いろいろなややこしい不快なことを一緒に経験した。
たくさん会話をし、一緒に食事をし、美味しいものをお裾分けし合った。
人間は立体だから、惚れ惚れするところも、気に入らないこともある。それでも、良い面をなるべく多く見て、会話をして違いを認め合うことができると楽しい関係になっていく。

シャンパンが1本だけ空いた。
あの方がいらっしゃったら、あと2本はワインが空いてたのに、とぼんやり思っていた。
遺された人が集まって、懐かしい話をするのは、とても良い。旅立ってしまった人との新しいエピソードは増えないから、お互いが持っているエピソードを見せっこし合って笑う。居残り組はそうやって、不在の悲しみを一緒に味わいながら生きていく。

生きているといろいろなことがある。
鼻持ちならない嫌な人と出会うし、マウンティングママは会うたびにマウンティングしてくるし、練習をしても本番で間違う。
いろいろな新しいことが起きるのは、生きているからなのだな。経験した嬉しいこと、発見したこと、抱える思いを共有するために、私たちはお酒があることを口実にして集まり、お酒で口を滑らかにし、お酒の感想を述べつつ味わい、上を見上げて乾杯し、懐かしい話をし、近況についての情報を交換し、笑い話をたくさんする。

今日も私たちはよく生きました。この調子で、いこう。

#いい時間とお酒

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?