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花丸恵の食べたり呑んだり作ったり

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自分が書いた食べ物やお酒などに関するエッセイをまとめました。 食べた感想だけでなく、食べ物に関して疑問や思ったことなども書いています。 今後もどんどん追加していきます。 食いしん…
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#餅

ゆく年くる年、六花亭

 とうとう大晦日。  差し迫るというよりも、真隣にぴったり2024年が座って待っている状態だ。 「もうちょっと待ってくれない?」  と頼んでみても、辰のセーターを着た2024年は笑顔で首を振っている。どうやら待ってはくれないようだ。  ならば来い!  来るんだ2024年! さぁ!  私が両手を広げるも、 「まだ、ちょっとあるから……」  と言って2024年は、この胸に飛び込んできてはくれない。  時間厳守。2024年、時間をきちんと守れる良い子である。  さて。  大

海苔煎餅みたいな餅を焼こう!

 餅は、インスタント食品だ。  密かに、私はそう思っている。確かに、カップ麺ほどの気軽さはないけれど、それでも餅は、常温保存ができて、焼けばすぐ食べられる便利な食材だと思う。  餅といえば、やはり正月を連想してしまうが、正月だけでなく、忙しいさなか、小腹を満たすのに、餅は案外、最適な食品でもある。  我が家は春夏秋冬問わず、年中、餅を常備している。  休日、私がぼんやり寝過ごしたりすると、夫が餅で飢えをしのいでいたりするし、朝早い勤務のときも、餅を焼けば、それこそ、お茶漬

サイコパスな餅

ある日、餅を食べる私に向かって、母がこう言った。 「慌てずにゆっくり食べなさいよ。お餅で死ぬ人だっているんだから」 青天の霹靂とはまさにこのことで、 当時、10歳に満たない子供であった私は、餅で人が死ぬという事実に 驚きを通り越して恐怖を感じた。母に理由を聞くと、 「喉につまらせて息できなくなって死んじゃうのよ。 口開けて、掃除機で餅を吸い取って助かった人もいるらしいけどね。 苦しいわよ、絶対。だから、よく噛んで飲み込まないと危ないのよ」 一度は母の冗談かと疑ってみた