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花丸恵の#プロモーションは含みません

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好きなものやおすすめのもの、おいしかったものなど、既製品でよかったもの、感動した作品などを記事にしたいと思います。「食べたり飲んだり作ったり」とマガジンが重複してしまうかもしれま…
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#買ってよかったもの

ゆく年くる年、六花亭

 とうとう大晦日。  差し迫るというよりも、真隣にぴったり2024年が座って待っている状態だ。 「もうちょっと待ってくれない?」  と頼んでみても、辰のセーターを着た2024年は笑顔で首を振っている。どうやら待ってはくれないようだ。  ならば来い!  来るんだ2024年! さぁ!  私が両手を広げるも、 「まだ、ちょっとあるから……」  と言って2024年は、この胸に飛び込んできてはくれない。  時間厳守。2024年、時間をきちんと守れる良い子である。  さて。  大

憧れの調理用スプーンを買う

 私がそのスプーンを見たのは、映画「リトル・フォレスト」の冒頭シーン でのことだった。  とある田舎町で暮らす主人公のいち子は、梅雨の長雨に辟易としていた。鬱陶しいほどにまとわりつく湿気。そんな、水の中を漂うような湿度のせいで、台所に置いてあった木製の調理器具がカビてしまう。  大きな溜息をついた後、いち子は意を決して、室内を乾燥させるために薪ストーブを焚く。とはいうものの、そこは梅雨。太陽は出ていなくても、しっかり暑い。家中が乾くまではサウナのような暑さに耐えなければな

料理に使えるちりとりの話

 自分で言うのもなんだが、私はズボラでおおざっぱな人間だ。  かたや、一緒に暮らす夫は細やかで、何をやらせても上品。炊きあがったご飯をしゃもじでほぐすにしても、餅を焼くにしても、それはそれは丁寧で、もう拝みたくなるほどだ。  それなのに、我が家の家事を担っているのは、おおざっぱな私。世の中うまくいかないものである。  家事の中でも、料理は割と好きな方だと思うが、そうは言っても毎日のこと。洗い物など、面倒に思うことが多い。特に調理中に出る洗い物は、シンクが散らかって嫌なもの

ブラックでプレミアムな金曜日

 「ねぇ、ブラックフライデーとプレミアムフライデーって何が違うの?」  私は夫に訊いた。  近頃、何かと金曜日界隈が賑やかだとは思っていた。しかし、私は関心がないことを、とことんほったらかす悪癖があり、このときまで、私はその詳細を把握していなかったのである。  しかし、そんな世間知らずな私でも、11月も中頃を過ぎると、ブラックがやたらと騒がしいことに気づき始めた。そういえば少し前に、プレミアムも話題になっていた記憶がある。もしかしたら、ブラックにせよ、プレミアムにせよ、こ

おかめ納豆さんに謝罪したい

 ピンポーン。  そろそろ夕飯の支度でもしようかという頃、我が家のインターホンが鳴った。玄関のドアの向こうからは、 「佐川急便でーす」  と、名乗る声が聞こえる。何か通販でも頼んでいただろうか。思い巡らせてみたが、そんな記憶はない。  夫がふるさと納税の返礼品でも頼んだのかもしれない。そんなことを考えながら、私は玄関へと向かう。  ドアを開け、佐川さんに 「どうも有難うございます~」  そう言うつもりで吸い込んだ息を、私は思わず呑み込んだ。  佐川さんが抱えていた荷物が、