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たまたま見たドラマの、たまたま聞いたセリフが、妙に頭に残ることがある。 そのドラマの主人公である主婦は、目の前にいる夫にこう言った。 「私は毎日、マイナスをゼロに戻してるの」 足の踏み場が確保されたフローリング。衣装ケースに畳んでしまわれている洋服や下着。温かいご飯。いつの間にか沸いているお風呂。 快適な生活を送るためにある行動の前後には、必ず家事がついて回る。 妻の悲痛な叫びを、夫がどう受け止めたか、その後のドラマの展開は憶えていない。 だが、家事をす
その日、何十年かぶりに夫婦でマクドナルドに行った。 久しぶりなのに、昨日も来たような見慣れた店構え。どこのマクドナルドに行っても、店の様子が変わらないのは、大企業ならでの戦略の一つなのだろうか。 そんなことを思っていると、奥のほうから 「テレレ、テレレ」 ポテトの揚げ上がりを報せる音が聞こえてきた。 この音を生で聞くのも久々なはずなのに、昨日聞いたかのような耳慣れた音に感じる。 私はダブルチーズバーガーにポテト。夫はフィレオフィッシュバーガーにサラダを頼んだ。