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物憂い。 近頃世間が本当に物憂い。ニュースを見るのがつらくなってくる。私はちょっとしたことで簡単に物憂くなる性分なのだが、ここ一年は投げ込まれる憂鬱の球を何とか打ち返し、ヒョイとかわしたりして自分なりに工夫してきた。しかしここ最近は四方から危険球が投げこまれ、少々デッドボール気味である。 そうなると、難事件に遭遇しているわけでもないのに、私は金田一耕助ばりに頭を掻きむしり、こんなことを口走ってしまう。 「あああ、悟りたい!悟りたいよお!」 私は数ヶ月に一度はこうして
買い物を終え、私は車を降りた。買った物を持ち出そうと、後部座席のドアを開けようとしたとき、夫が 「荷物はオレが持っていくよ」 と言ってくれた。ご厚意に甘え、私は手ぶらで自宅へと戻る。 車を駐車場に入れると、夫は車のボディーに傷がないか確認したり、気になる汚れを拭いたりしているので、私より遅れて自宅に戻ることが多い。私はその間にコーヒーを入れたり、台所を片付けたりしていた。 しばらくして夫が、 「ただいま」 と帰宅した。手ぶらである。 「あれ?荷物は?」 と聞く
夫と晩酌をしながら、 「最近二郎を食べてないね」という話になった。我が家にとって二郎というと、私が作る簡易版の二郎風ラーメンのことである。 二郎のラーメンは、乳化もしくは非乳化のスープに、やや不揃いな太麺が浸かり、その上にたくさんのもやしとキャベツがのっている。 厚切りのゆで豚、刻んだ生にんにく、そしてドロリとした背脂がかかっており、これらを麺とスープに絡ませながら、ワシワシ食べるラーメンだ。 一度食べたら癖になる。とにかく根強いファンがいるのが特徴である。