盲目の美容師、直人くんから教えてもらったこと
盲目の美容師、直人くんの講演を聴いた。
昨年出会い、お客として美容室に通うようになった。
どうして目が見えなくて、美容師ができるの?どんな風に施術するの?
そんな素朴な疑問とともに、是非とも体験したいと思い、美容室に伺ってのが半年前。
その後は毎月通っている。
それは直人くんのゴッドハンドと心地よい空間、時間のためだ。
その直人くん、今年から講演活動を初めている。
直人くんは東京都内、東急池上線、雪が谷大塚にある美容室に勤めて6年。
網膜色素変性症という難病を煩い、中学生のころから次第に見えなくなって行った途中失明者である。今はぼんやり光がわかるくらい。
なので今はカットなどは担当せず、シャンプーとヘッドスパの係だ。
盲目の直人くんは人の10倍頑張らないと見える人と同じことはできない。
膨大な時間を費やして努力している。
誰よりも早く来て、練習して1番遅くに帰る。
店に馴染むのも1年かかった。
今ではシャンプーしてもらって、顔に水がかかることなんてない。
美容室にいると直人くんが盲目だということをこちらも忘れるくらい、自由に動き回っている。階段も平気だ。
奇跡的に国家試験が通ったものの、盲目の直人くんを雇ってくれる美容室はなかなか見つからなかった。
仕方ないだろう。
そんな中、人の紹介で今の社長に会った。
盲目の直人くんを雇った美容室の社長は素敵すぎる。
社長であり、店長として、店の司令塔である。全体に声をかけて役割を采配し、スムーズにお店を回していらっしゃる。
仲間も素敵だ。
時々、直人くんがワゴンにぶつかると、隣のスタッフが、片手でさりげなく位置をずらす。
もはや阿吽の呼吸。
もちろんお客の私たちにもさりげなく優しい。
店全体が優しさに満ちている。なんとも心地よい空間になっている。
直人くんから教わったこと
直人くんは盲目の分、指先やその他の感覚が優れている。
だからヘッドスパはゴッドハンドだ!
ヘッドスパとはヘッドマッサージ。
頭が無くなったか?と思うくらい首が軽くなる。通わずにはいられなくなる。
五十肩で手が上がらなかったのに、上がるようになった人もいるそうだ。
スケジュール管理はどうしているのか?
全て頭の中だそうだ。
並外れた記憶力を磨いてきた。どれだけ頭が良いのか?
講演する際も全て原稿は暗記だ。
ある講演会で優勝したのだが、制限時間も自分の感覚で捉えている。
並大抵の練習量ではない。
働く理由
初めはカッコイイから美容師になりたかったそうだ。
表参道のカリスマ美容師に憧れた。
その夢を諦めずに、目が悪くなっても努力してきた。
働く理由は変わってきた。
今は人に喜んでもらえるから続けているそうだ。
直人くんのヘッドスパで多くの人が幸せになる。
私もその1人。
人に喜んでもらえる仕事。
これが仕事の原点だと思う。
※その美容室は
#koorin
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