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模写の風景 画家の心 第12回「エドガー・ドガ 踊り子たち、バラ色と緑 1894年作」

「ねぇ、あたしたちの出番、もうすぐじゃないの」
「シッ! 静かにして。あの方の踊り、見てるんだから」
 舞台袖で出番を待つ若い踊り子たちふたりの会話が聞こえてきそうな、そんな一瞬をとらえた絵だ。
 会話が聞こえる。そういうふうに改めてドガの踊り子たちを見てみると、すべての絵の中の女の子たちの話し声が、ブツブツ呟くひとり言が聞こえてくるではないか。
 これがドガの絵なのだ。印象派を創設し、一瞬を切り取るドガならでは絵なのだ。それを表現する画題が、煌々と光り輝く舞台、その舞台で踊る女たち。
 ドガの絵の面白さ、魅力を改めて発見した思いがした。
 ドガの絵は美しく、そして実におもしろい。

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