見習いたいものだと思ったお客様たち・・・1

私がまだ19だったかそのくらいの頃、ススキノのクラブで働いていた時のお話。

年齢的には60過ぎのこじゃれたおじ様が常連さんにいた。

とても人間的に素敵なおじ様だったのだが、彼に対して一番素敵だなって思ったところ。

それは、奥様の事を褒めること。

水商売・風俗の世界で、妻帯者の方はたくさん出会うのだが、
正直、奥方を褒めるお客様はホントに少ない。

「嫁が年食ってやる気が起きないよ」

やら

「嫁は下手だから面白くない」

とか

まぁまぁ愚痴が結構出てくる。

こういう人見てると、内心・・・

「嫁も年食った分、お前さんも年食ってることに気が付けw」

とか

「嫁が下手なのはお前さんが下手だから育たなかったんだろうに・・・」

と思ってしまう・・・。

その他、家庭の愚痴やらなにやら・・・
まぁ恥ずかしさもあって言えないのかもしれないけどね・・・。

恥ずかしいから言わないってホント日本人の悪いところだと思います。

そんな中、そのこじゃれたおじ様は、奥方を褒めて、とても感謝していると仰っていた。

おじ様のお母様が寝たきりで、その介護を奥様がなさっているそうで

「嫁は大変だと思うけど、ちゃんと家の事やってくれるから、僕は安心して仕事できたり、こうやって飲みにもこれる。ほんと嫁には頭が上がらないよ」

と言って恥ずかしそうに笑っていた。

そういう話を聞くと、そんな素敵な奥様に会ってみたいものだって思うもの。

夫婦っていうのは鏡合わせのようなもので、年月が経つごとに、どんどん似てくるところが増えてくるものだと思う。

私の両親もまたそうで、彼らは結婚して50年弱だが、年々似てくるなと、娘の目からもわかるくらいだ。

だからこそ、こうやって奥様を褒めるような旦那さんの奥様はきっと同じように素敵な人なはずだ!と私は感じた。

当時働いていたクラブは、お客様へお礼のお手紙を直筆で書いて送るということを習慣づけしていたため、私はそのおじ様へのお礼のお手紙ともう1つ、
奥様へのお手紙を同封し、おじ様と奥様へ連名でお手紙を出した。

おじ様へのお礼のお手紙は通常のあたりさわりのないお礼状。

奥様には、おじ様が奥様にとても感謝していると話していたこと、そして、それを聞いて、私が奥様にお会いしてみたくなったことを書いた。

内容はあまり覚えていないが、確かこのようなことを書いたと思う。

「先日〇〇様が奥様のお話をされていて、その中で奥様が〇〇様のお母様を介護していらっしゃると伺いました。
〇〇様が奥様が家の事をしっかり守ってくれてとても感謝していると嬉しそうにお話しているのを見て、私もそういう女性になりたいなと思いました。
そして、そんな素敵な奥様に私も1度お会いしたくなりました。

奥様のような素敵な女性に1度会ってみたいので、介護で大変だとは思いますが、もしお時間があれば、旦那様とご一緒に遊びに来てください。

とても楽しみにしております。」

数日後、こじゃれたおじ様が来店した時、
そのお手紙を奥様が見て、とても喜んでいたよ。
ただ、やはり介護だと家を空けることができないので、是非会いたいが行けないので、代わりに旦那を宜しくお願いしますって嫁からの伝言もらってきたよ。」

と嬉しそうに仰っていました。
そして、手土産にお寿司をもってきていて

「嫁にみずきちゃんのところ行くなら、お腹すいてるかもしれないから、お寿司かっていってあげなさいって言われたんで、お土産持ってきたよ。」
と言ってました。

ね!素敵な夫婦ですよね!


信頼あってこその、夫婦関係。

日本人は人を褒めること・・・特に自分に近い存在ほど素直に褒めるのが苦手な種族なのかもって思ったりしますが、

人生、いつどこでいつも近くにいるとは限りません。

相手がいてこそ言えるのです。

ある日突然いなくなったり、ある日突然死んじゃうかもしれない。

そんなのだれにもわかりません。

だからこそ、褒めることって大事だと思うんですよ。

本人に言うのもそうだけど、周りに言えるってこともすごく大事だと思います。

長い人生、一緒にいれば、嫌になることもむかつくこともあるかもしれないけど、それでも1度でも好きになって結婚した相手です。

特に男性には思い出してほしい!

結婚する際に、相手の親御さんにおどおどドキドキびくびくしながら、
勇気を出してご挨拶にいったのでしょう?

人生で最大の勇気をもってゲットした相手です!

だからこそ、釣った魚に餌やらないではなく、

「釣った魚だからこそ、美味しい餌をあたえ、大事に育てていく」

が正解なんだと思います。

植物だってね、褒めて育てるのと、けなして育てるのでは、育ち方が違います。

犬だって、大事に育てて、まめにケアすれば、元気に長生きしてくれます。

人はなおさらです。

だって彼らより何十倍も何百倍も複雑な感情というものがあるんですからね!

恥ずかしいなんて、人生に必要ないスキルです。

素直こそが正義です。

素直に相手を褒めることって、ほんとに大事なスキルです。

↑ここ!テストに出ます!覚えてね


時間なんてあるようで結構ないものです。

言える時に褒める・感謝するはしたほうがいいと思います。

時間は待ってくれないんですからね。


以上
若い時に私が出会ったお客様と接して思ったことです。

皆さんはどう思いますか?







元ストリッパー&振付師の観月真子こと藤倉瑞城です。