Design+Tech+Business
武蔵野美術大学大学院 クリエイティブリーダーシップ特論の講義録・・・と言いたいところですが、講義録ではなく、印象に残ったポイントと持論をまとめたnoteです。
読む人にとっては講義録の方がありがたいのでしょうが、たぶん、同級生たちが素晴らしいnoteを書いていると思うので、ぜひ探してみてください。笑
今回のゲストは、日本を代表するデザインファーム、Takramの代表 田川欣哉さん。月面探査ロボット、空港のラウンジ、政府が提供する地域経済分析システムまで、ものすごーく幅広いお仕事を手がけています。
メンバーは2つの専門領域を持つことを求められる
Design+Tech+Businessの3点を振り子のように行ったり来たりしながら進めるのがTakram流。そのためには、メンバーが3つの視点を持つ必要があります。少なくとも、メンバーは2つの専門領域を持つことを求められるとか。
そんな人材を探すのは相当大変だと思いますが、Takramではちゃんと育成の仕組みがあるそうです。メンバーには、2つ以上のプロジェクトにアサイン。得意な領域と不得意な領域を両方やってもらうことで、異なる領域の能力を伸ばします。コンフォートゾーンを全部出てしまったら心身ともに持たないので、得意な領域も残すのがポイントです。
先に紹介した空港のラウンジも空間の仕事をしたことのないメンバーがアサインされたそうですが、素人だからこその視点が逆に生かされたというエピソードも。ほかの領域の仕事をすることで理解も深まりますし、さらに対応できる領域が増えるという一石二鳥の仕組みです。
そもそも、Design・Tech・Businessの3領域は別部門という企業が多いのではないでしょうか? それぞれ視点が異なるので、一人の人間がすべてを考えると逆に足を引っ張ることもあります。が、そのカオスが逆に面白いものを生み出す、というのが田川さんの考えです。
イノベーションは、辺境と異種交配でおきる。
チームでコンフリクトすると大変だから、個人の中に異種があるといい。
一個人が、Design+Tech+Businessを実装できるか
DesignとTechは行ったり来たりしやすい領域だけど、Businessはなかなか難しい。最近までそう思っていました。というのも、使い手の立場でサービスを生み出すという立場はデザイナーもエンジニアも同じ(なはず)。私自身、両方の立場を経験してそう感じています。
でも、Businessだけは視点が違うんじゃないかと、ずーっと思っていたのです。むしろ、相反すると思っていました。でも、今はBusinessを含めて、サービス全体をデザインすることが求められる時代です。利益をどこで生み出すかという点はもちろん必要なのですが、それよりもサービスを成立させるためのサービスのフロー(ステークホルダーを含めた)を考えることが重要なのです。
私は非営利団体の代表なので、利益を生み出すことよりも受益者にサービスをどう届けるかの方が重要。だからBusinessの視点は必要ない、とどこかで思っていました。でも、サービスを成立させるためには、全体を俯瞰してデザインする必要がある。それが田川さんが言及していた、Businessの視点なのではないかと思います。
おまけ:日立製作所の「BusinessOrigami」がすごい
そう気づいたのは、つい最近。授業で、日立製作所の「BusinessOrigami」という手法を経験したからなのです。正直なところ、世の中に出回っているビジネスモデルを考えるツールはわかりづらい(私には)。最も有名なビジネスモデルジェネレーションも、どうもしっくりこないのです(私には)。
「BusinessOrigami」は、ステークホルダーが折り紙(人の形や会社の形など)になっていて、模造紙に並べていくと関係図ができるというツールです。アイデアとビジネスモデルを行ったり来たりしながら、サービスを組み立てられる画期的なツールだなあと密かに感動していました。
もちろん、簡単にできるもではないし、幾度となく作り直す必要がありますが、サービス全体を俯瞰する視点を持てるという点が素晴らしいと思うのです。私もNPOで実践してみたいなあと思っています!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?