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リーダーシップとマネジメント

武蔵野美術大学大学院 クリエイティブリーダーシップ特論、今回のゲストは元三井物産役員の佐伯基憲さんです。自らのこれまでの経験や松下幸之助の例を提示しながら、リーダーシップとマネジメントの違いについて話してくださいました。

まずは、辞書で定義を調べてみましょう。

リーダーシップ leadership
指導者としての地位や力。統率力。
the position of being the leader of a group, organization, country etc

マネジメント management
経営。管理。また、経営者。管理者。
the activity of controlling and organizing the work that a company or organization does
(日本語:角川必携国語辞典 英語:ロングマン現代英英辞典)

リーダーシップとマネジメントの違いについては、私自身、小さいながらもNPOのファウンダーであり代表でもあるので、常々考えさせれています。同じくファウンダーであり代表でもある人の特徴は、とても強いリーダーシップを持っていること。スタイルはさまざまですが、組織を立ち上げる意志の強さと粘り強さ、そして巻き込む力の強さが目立ちます。

一方で、マネジメントは得意でない人が多く、組織を仕組み化し広げていく段階で躓くことが少なくありません(私も同じく・・・)。ビジョンを示し目的に向かって突き進むリーダーシップと全体を俯瞰しながら最適化して物事を動かしていくマネジメントには、矛盾する性質があるのです。単純なマネジメントならともかく、複雑になるとやはり別の能力が必要となるのです。

HONDAやSONYも二人の異なるタイプのリーダーがいたからこそ成長したと言われていますよね。もちろん、マネジメント力の高いファウンダーも存在します。ただ、組織の裏側を見ると、異なるタイプのリーダーが存在しているのかもしれませんね。

企業における管理職の場合は、企業全体としてのビジョンや目標が前提となるので、ゼロからビジョンを作り出すリーダーシップとは異なります。管理職=マネージャーと表現されるように、マネジメント力が求められ、その上でチームを率いるリーダーシップが必要とされるのでしょう。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉を紹介してくださいました。初代ドイツ帝国宰相ビスマルクの言葉です。「愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む」という意味だそうです(wikiquoteより)。

佐伯さんは「自分の経験だけに頼っては1倍速。先人の経験に学べば数倍速になる。でも知恵に転換する機会が必要」とおっしゃっていました。「知恵に転換する機会」が経験ですね。

その通りでもあり、また逆もしかりだと思います。どちらかと言えば日本人は、歴史には学ぶけれど経験からは学ばないという人が多いのではないでしょうか。ビスマルクに対抗するわけではないですが(笑)、経験重視の人は歴史から学び、歴史重視の人は経験から学ぶことが必要ではないか、と私は思います。

私は経験重視で行き詰まり、今、歴史を学んでいるところです。その学びはとても大きいですが、経験があるからこそ理解できると言えます。賢い人は違うのでしょうが・・・結局、リーダーシップのスタイルも学びのスタイルも、まずは経験から学ぶのが早いんじゃないかなと個人的には思います(試行錯誤力はデザイナーにとって重要な力ですからね!)。


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