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線路はつづくよどこかまで

朝から
電車の音が
風に乗って聞こえてくる
心なしか緊張感をもち
通勤時間の
あの
独特な雰囲気を思い起こした

ふいに
窓から入る風に意識を向けると
秋の肌寒い空気が
重い頭をすっきりさせ
先ほどの
通勤時間の独特な雰囲気も
いつの間にか
消えていた

そういえば

人生を線路のように見立て
それに励まされながら
生きていたことがある

いや…もう無理だ
死にたい…

そんなことを考えていた時期
特段
なにもしなければ
人生の線路はのびつづけている
そう思い
それを励みに生きていた

生きることに必死だったわたしは
いずれ
誰しも
絶対に死ぬこと
をすっかり忘れていた

線路がどこまでも続いているのは幻想で
いずれ
だれしも終着駅にたどり着く現実

いずれ
この身体から
わたしたちは降りることになる

死にたい思いばかりに駆られ
いずれ死ぬことを忘れていた

わたしは
単純

不器用だった
自分の過去に
思いを馳せていると

いつの間にか
電車の音は
すっかり聞こえなくなっていた

今日も一日が始まる

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