2023秋の共産党④~10中総を受けて、委員長人事の考察~

11月13日、第29回党大会決議案を全党に提案する第10回中央委員総会が開かれた。この大会決議案の起草責任者として田村智子副委員長が幹部会報告を行った。共産党はこれまでも女性議員は多かったが、幹部登用が少なかった。各地の女性議員や女性国政候補者を中央委員・准中央委員に追加し、全体の役員数を増やした形で女性比率をあげてきた。党三役では、副委員長に2人女性がいるが、副委員長自体が6人いる。私から見れば、形だけの女性登用と見えていた。そんな中の幹部会報告をする女性副委員長、田村智子氏。政策委員長に抜擢後、政策委員長兼副委員長として定着し、率直な感覚が党幹部の中では国民の感覚に近いとされているが、重鎮の中ではその思いをすぐ消してだんまりという姿に残念に思うところがある。ただ、志位委員長の続投がなければ、共産党初の女性委員長になるのではと言われている。

大会決議案を現在の委員長である志位氏が行い、それを田村氏が委員長として実行するでは傀儡といわれても仕方がない。だから、大会決議案をつくるところから中心となり、根拠となる資料を見つけるチーム作り、常幹の重鎮連中からの追加対応など、委員長としてなった時に必要な素養をつくりあげる試練のような決議案となっているのではないか思う。

前回党大会は、志位委員長が綱領の一部改訂を提案し、小池書記局長が政治任務の第1決議案、山下筆頭副委員長が党建設の第2決議案を提案している。それに比べ、田村副委員長は、政治任務と党建設の両方をまとめた決議案を提案している。それだけで、志位委員長を補佐する二人を超える仕事をしているのだから、志位委員長が退任するなら、次期委員長は田村氏が適任となるのだろう。

一方、前回党大会の第2決議案を前提としたり、志位委員長が岸田首相に申し入れた日中提言を入れたと強調したり、田村委員長下でも幹部として残るであろう人のことはちゃんと残している。また、志位氏が主導した『100年史』や記念講演を「学習」することの項目を立てるなど、志位氏を持ち上げてる。経済再生プランも政策委員長として発表するかと思えば、同席するのみで、志位氏が会見の前面に立った。志位委員長への長期在任批判を全幹部を上げてかわす――これが、除名問題以降の共産党のスタンスだ。その最終的帰結がこの党大会決議案に集約している。だから起草責任者が、志位委員長ではなく田村副委員長となったともいえる。

志位氏への委員長在任期間批判は、除名問題を経て、党勢や選挙で後退しても委員長が交代もせず、異論を認めない党首としての印象が強まったことが大きい。そんな中での、参院比例から衆院比例への鞍替え出馬。憶測が憶測が生むわけだが、本人はそれを否定。

WEB東京民報【躍進への挑戦 衆院比例東京 共産党予定候補】田村智子参院議員に聞く  政治変える「突破力」に 衆院出馬〝燃える〞と反響〈2023年7月23日号〉東京が見える!東京を変える!週刊新聞『東京民報』のニュースサイトWeb東京民報ですWEB東京民報【躍進への挑戦 衆院比例東京 共産党予定候補】田村智子参院議員に聞く  政治変える「突破力」に 衆院出馬〝燃える〞と反響〈2023年7月23日号〉東京が見える!東京を変える!週刊新聞『東京民報』のニュースサイトWeb東京民報です  日本共産党の田村智子副委員長・政策委員長・参院議員(57)は、次の総選挙で比例東京ブロックから立候補することを表明しまし www.tokyominpo.com

インタビューの最後では、「いまマスコミでは、私の衆院選立候補を、志位和夫委員長の在任期間とからめた、うがった論調が多く出ています。「委員長の在任期間が長いから問題だ」という攻撃と、私の衆院出馬を意図的に結び付けて、私たちのなかに分断を持ち込もうとしている。しかし、共産党が革命政党として、政治を大本から変えようとしているなかで、志位委員長は、政策の面、理論の面など、大事な役割を果たしています。委員長を辞めないといけない理由は何もありません。」とまで言うわけです。

これで次期委員長になるのでしょうか。
各地で講演を行ってる市田副委員長(京都で地区委員長、府委員長。中央で書記局次長、書記局長、参院議員4期を経験。)は、田村さんが委員長になればいいというひとが党員にいるかもしれないがけしからんと言っている動画を目にしました。

今回の決議案提案をもって、田村氏が次期委員長になったとしても、志位氏は議長になるのでしょう。不破哲三氏は、宮本議長を引退させ、議長を置かない規約改正をさせたのち、次の党大会で議長となりました。その時、書記局長から委員長になったのが志位氏、書記局次長から書記局長になったのが市田氏です。当たり障りのない順当な人事だったし、賛否は置いといて不破氏の理論面での党内の功績から議長という役職はしっくりしていたとも言えるものでした。その後、志位氏に政治面を任す代わりに、綱領改定という大仕事を不破氏は議長として行ったのです。

それに比べ、志位氏は議長になったところで、共産党にどのようなプラス面があるのか疑問です。志位氏は次期衆院選にも立候補します。比例南関東1位です。先日の街宣でもヨイショされていました。今回の決議案でもヨイショ。そこまでヨイショされつつも、世代交代を進める。だけど、熱望されたら体力がある限り頑張るという理由で議長になるのでしょうか…。志位議長になる理由やプラス面が見当たらないのです。

だとすると、志位氏の功績をたたえる決議案を作り、議長就任もしくは委員長続投というのが今の指導部の筋書きで、田村氏は、委員長もしくは書記局長といったところでしょう。志位氏自らが議長も委員長にも就かないと宣言すれば話は別です。そのあたりは党大会の開会あいさつに期待したいところです。

党首公選を実施していればこんなこと考察しなくていいのだが…。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?