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香害の対策は「柔軟剤と合成洗剤を買わない」

◆化学物質過敏症の原因は「化学物質」

化学物質過敏症の原因は、「過敏」にあるのではなく、
「化学物質」にある。
ごく当然の論理ですが、この事実がごまかされてはいないでしょうか。

公害の歴史を見れば明らかでしょう。
患者が少ないときは、病気の原因は患者に押し付けられます
水俣病を例にとってみましょう。

◆患者発生から認定まで12年

水俣病は、熊本県水俣町にある工場が、メチル水銀を水俣湾に排出し、
その湾の魚を食べたことによっておこった公害病
です。

工場は昭和7年から操業されましたが、昭和20年後半より、
より多くの水銀を使用するようになりました。
その後、どのような経過をとったのか、年表でみてみましょう。

昭和29年 「ネコ100余匹が次々と狂い死にした」と新聞報道
昭和31年 原因不明の激しい脳症状を訴える5才の女児が入院
     この年、50人が発病し11人が死亡。
昭和32年 保健所の実験で、水俣湾で獲れた魚を与えたネコに奇病発生。
昭和34年 熊本大学水俣病研究班が「水俣病の原因は有機水銀」と発表

これで、公害認定と思いきや、そう簡単にはいきませんでした。

「水俣病の原因は有機水銀とは限らない」
「原因はあれではないか」「これかもしれない」
と、時間が過ぎてゆきました。
その間、多くの住民が水俣病になり、
命を落とした人も少なくありませんでした。

厚生省が水俣病を公害病であると認定したのは、
昭和43年、最初の患者より12年も経ってからでした

◆健康被害が立証されるまでの長い道のり

全ての健康被害は、同様の経過をたどるものと思われます。

・原因不明の症状をおこす人がまず1人発生
・同様の人がポツリポツリと現れる。
「原因はこれかも」と、病名が付く。
「原因はそれとは限らない」と、反対意見が出る。
 その間、患者は増える。
・原因が立証され、対策が立てられる。

化学物質過敏症の場合、原因は明らかに化学物質なのですが
「気のせいでは」「体質が弱いのでは」と、
患者の「過敏」に原因が押し付けられます

また、香害の場合、「あの人が柔軟剤を使うのが悪い」と市民同士の対立になりがちですが、製造企業が生み出した公害以外の何ものでもないでしょう。

◆恐ろしいのは「欲の心」

しかし、もっと考えを深めてみましょう。
企業といっても「人」の集まりです。
公害も香害も、「人」の「欲」が生み出したものではないでしょうか。

「欲」とは、もっと欲しい、もっと欲しいと際限なく「利益を求める心」です。
「これで満足、もういりません」ということはありません。
「これ以上、お金はいりません」という人はあるでしょうか。

100万円貯金ができたら次は500万円。
それが達成できたら次は1000万円。
いや、老後を考えると2000万円、3000万円と渇きます。

欲の本性は我利我利がりがりと言われます。
我利我利とは、「我が利益」「自分の利益」ということで、
自分が儲かれば他人はどうなってもいい、という恐ろしい心です。

香害を起こす企業が恐ろしいのは、人間の欲が恐ろしいからでしょう。
私も、そんな企業に勤めていたら、同じことをやったに違いありません。

◆対策はシンプル 「買わない」

香害の被害はどうすれば減るのでしょうか。
政治家を動かし、政府に訴えて、企業に自粛してもらう。
それには大変な時間がかかります。

対策は案外シンプルなのかもしれません。
香害の原因の最たるは柔軟剤と合成洗剤です。
みんなが柔軟剤と合成洗剤を買わなければ、
企業はそれを作らなくなります

儲からないからです。

みんなが健康に良いものしか買わなくなったら、
企業はこぞって、健康に良いものを作るようになるのではないでしょうか。

1)斉藤吉広:「化学物質による苦しみは「過敏」なのか 当事者を孤立させる社会」,月刊保団連 1366:33-39, 2022
2)ウィキペディア「水俣病」

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