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睡眠負債は「朝寝」でなく「昼寝」で返済しよう

◆人はなぜ眠るのか

人間はなぜ眠くなるのでしょうか。

起きている時間や疲れによって、プロスタグランジンD2をはじめとする
「睡眠物質」が溜まってきて眠くなると考えられています。
寝ることによって「睡眠物質」が消失し、目が覚めます。

「睡眠物質」が残ったまま翌朝を迎えると、眠いまま1日が始まります。
「眠い、眠い」と1日を過ごすうち、「睡眠物質」がさらに上乗せされていきます。
その夜も十分な睡眠が取れない場合、「睡眠物質」は日に日に増えていきます。
「睡眠物質」が借金のように積み重なっていくことより、
「睡眠負債」と言われます。

平日の睡眠負債を休日に返済しようと、朝10時頃まで朝寝すると、
どうなるでしょうか。

◆社会的時差ボケ

「寝る時刻」と「起きる時刻」の中間の時刻を「睡眠中央時刻」と言います。
例えば、夜12時に寝て朝6時に起きる人の「睡眠中央時刻」は3時です。

休日は自由に寝起きできるので、睡眠負債の影響が現れます。
夜12時に寝て朝10時に起きれば、「睡眠中央時刻」は5時です。

平日と休日の睡眠中央時刻の差を「社会的時差ボケ」といい、
この差が大きいほど、睡眠負債が多いことになります。
「社会的時差ボケ」が大きいほど、心身に不調をきたしやすいと言われています。

◆早く寝る

睡眠負債の返し方ですが、朝寝をすると睡眠中央時刻が平日とずれてしまい、体内時計が狂ってしまいます。
睡眠中央時刻がずれないようにするには、その分、早く眠ればよいことになります。
夜10時に寝て、朝8時に起きれば、睡眠中央時刻は平日と同じ3時です。

◆朝寝より昼寝

夜10時に寝ようと思っても、そんなに早く眠れないという人もあるでしょう。
そんな場合は、「朝寝」よりも「昼寝」です。

眠くても朝7時には起きましょう。
コーヒーを飲んで目を覚まし、睡眠負債を抱えたまま午前中を過ごします。
負債の返済は午後が最適です。

昼食後か3時ごろ、昼寝をしましょう。
昼寝は体内時計を狂わすことなく、睡眠負債が解消できます
ただし、1時間以上の昼寝は、夜間の睡眠を質を低下させますので、
注意しましょう。

参考文献
三島和夫:「社会的ジェットラグの概念と病態メカニズム」,日本医事新報 (4863): 26-33, 2017

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