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認知症予防のラストチャンスを逃さないようにしよう

◆人生の岐路

人生を振り返って、「あの時が人生の分かれ道だった」と回顧することはありませんか。
 
 進学するか、就職するか
 就職する会社はAにするか、Bにするか
 結婚するか、断るか
 アパート賃貸にするか、一軒家を建てるか
 親と同居するか、別居するか

人生を大きく左右するのが病気です。
糖尿病、高血圧、脳梗塞、心筋梗塞、がん、認知症
できるならば、病気になりたくないのが本音でしょう。
病気になるかならないかの岐路について、考えてみましょう。

◆認知症は自覚がない

すべての結果には原因があります。
病気の原因の大きなものは生活習慣です。
「あの時、生活習慣を変えておれば、病気にならずに済んだのに」
という岐路があります。
認知症の場合、その岐路は「軽度認知障害(MCI)」です。

認知症は発症の25年前から、脳にアミロイドβが増え始めていることが分かっています。
発症15年前から、脳の海馬の萎縮が始まります。
しかし、自覚はありません。
なぜでしょうか。

◆予備“脳力”が無くなった時に気づく

筋肉を例にとってみましょう。
20~30歳をピークに、筋肉は減ってゆきます。
しかし、自覚はありません。
それは、日ごろ、筋肉の3割程度しか使っていないからです。

7割は予備の筋肉であるため、筋肉が減少しても気づきません。
筋力が半分ほどになると、体力が落ちたことに気づきます。

脳も、日ごろ3割程度しか使っていないため、
少々脳が萎縮しても自覚がありません。
脳の萎縮が進み、認知症発症の約5年前、
予備“脳力”が無くなった時、自覚症状が出ます。


「もの忘れ」
「人の名前を覚えられない、思い出せない」
「道に迷う」
「日付が思い出せない」

この時期を「軽度認知障害(MCI)」と言います。
この時が、「人生の分岐点」であり、
認知症予防のラストチャンスなのです。

◆自分が認知症になるとは

自分が「軽度認知障害(MCI)」であることを公表している雑誌記者の山本朋史さん。
『ボケてたまるか! 62歳記者認知症早期治療実体験ルポ』という本も出版しています。

山本さんが最初に気づいたのは、記憶力の衰えでした。
40~50代のころから、人の名前がでないことがあり、
還暦過ぎて加速してきました。
昨日会った人の名前も出てこない。
電話するときも、名前が出てこないことが増えてきました。

61歳の時、病院で軽度認知障害と診断され、驚きました。
「認知症は自分とは関係のないものだと思っていた。
 自分が認知症になるとは、まったく思わなかった」

「ボケてたまるか!」と、良いと言われたことを、なんでもやってみたそうです。
いちばん効果を実感したのは、「本山式筋肉トレーニング」という筋トレだったそうです。

◆脳と筋肉は上司と部下の関係

脳と筋肉は、密接につながっています。
脳の命令で筋肉は動きます。
反対に、筋肉を鍛えると脳が活性化されます。

例えは適切ではないかもしれませんが、上司と部下の関係です。
上司の指示で部下は動きます。
反対に、部下がやる気を出して頑張れば、
上司は刺激を受けて頑張るようになります。

親子関係と言ってもいいかもしれません。
子どもが頑張れば、親も頑張るようになるでしょう。

運動をすると、その刺激が脳に伝わり、脳が元気になります。

◆筋トレをしよう

山本朋史さんが認知症予防に効果を実感したのが筋トレですが、
決して激しいものではありませんでした。
座ってももを上げるとか、太ももを意識して階段を上るという「ゆるい筋トレ」です。

軽い運動でも、続けることによって認知症を予防する効果があるのです。

参考文献
青柳由則:『認知症は早期発見で予防できる』, 文藝春秋,2016

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