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笑顔を作れば、楽しくなる

◆苦しいとき、苦しい顔をした方がいいのか、平気な顔をした方がいいのか

苦しげな表情で走るマラソンランナーの元祖は
「人間機関車」の異名を持つザドペックでしょう。

顔をしかめての走りは、そう兄弟に受け継がれ、
今日では川内優輝が有名です。

「苦しそうな顔で、苦しみをアピールするように走った方が、
 精神的に楽なんです」とそう兄弟は言ったとか。

一方、涼しい顔で走るマラソンランナーと言えば瀬古利彦でしょう。
苦しくてもポーカーフェイスで、決して表情に表しません。

マラソンの場合、作戦のため、表情の是非は一概に言えませんが、
人生の場合、どうでしょうか。

「人生は苦なり」と言われ、苦しいこと、つらいこと、悲しいことが
次から次へとやってきます。

そんなとき、「苦しい顔」「つらい顔」をした方がいいのでしょうか。

◆表情フィードバック仮説

アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズは、「感情」と「表情」の関係について、「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ」という説を唱えました。

「悲しいから、悲しいを顔をする」と考えるのが普通ですが、
「悲しい顔をするから、悲しくなってくる」と考えました。

これは「表情フィードバック仮説」と言われます。

顔の表情筋と感情とはつながっており、「楽しい表情」をすると、
心も楽しくなる
ことが、さまざまな研究によって実証されています。

無理やり笑顔を作っても、その効果はあることが分かっています。

ドイツの心理学者ストラックは、被検者にペンをくちびるでくわえてもらうのと、歯でくわえてもらうのと、比較実験をしました。

ペンを歯でくわえると自然に笑顔の表情になります。
2つの条件でマンガを見せたところ、歯でくわえた方がマンガを面白く感じました。

(参考文献より引用)

「笑う門には福来る」と、昔の人はよく言ったものです。
「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのだ」

とにかく、目を細め、口角を上げて、歯を見せて、「笑顔」を作りましょう。
心も楽しくなりますから。

参考文献
守 秀子:「「笑う門には福来る」表情フィードバック仮説とその実験的検証 」,文化学園長野専門学校 研究紀要 第 5 号: 61-66, 2013

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