8月6日のメモ 帰り道、空を見ると誰かを思い浮かべる。 よくあることだ。 特別仲が良かった人でもなかったりする。 ふと誰かの顔が浮かんでくることも、思い出される人もすごいと思う。 なんの関連もないように感じるけれど全部見えない糸で繋がっているんだろうと思う。 78年前を想う 今、明日が来ることが、1秒後が来ることが当たり前のようだ 科学の進歩で確かなものに近づいているように感じるし、 怯えて生きるべきだということではない でも、どんな時代になっても変わらないのは未来
交わりの中で 五感を、時には六感を、 通して感じたことを 跳ね返しのない 防音室のような心で キャッチする 受け止める 吸収する 同時に自分から芽生えた 喜び、悲しみ、悔やしみ、怒りも それは全て輝で それらも一緒に静かに受け止める 漆黒の心 自分を強くする それだけでいい それが一番 二年前に発見された ベンタブラックよりも黒い物質 所感が詰まった 二次元のような心 平面を装う立体 そんな心は魅力的だ
オレンジ色の電車の方が到着が早くても 一人の時は 黄色い電車を待つ ホームの先まで歩き一番前の車両に乗る ただ乗っているだけの旅 心地よい密度 息遣い 乗客が皆 共通するなにかへ向かっているような 安心感のある車内 窓から射しこむ光の角度や量 シルバー色の床に落ちる影の角度と広がり方 全てのバランスが恰度良い 四ツ谷、御茶ノ水、浅草橋、亀戸、 暫く都会を駆け抜ける 段々変わってくる風景 車掌室の窓から進行方向を見つめる 真っ直ぐに み空色の空を突き刺すようにのびる
11月19日部分月食 終わりかけの月を見て歩いた 昔から人より天に話しをした 期待しない、裏切らない、 下手な話を静かに最後まで聞いてくれる 彼らだけは私を一人にしない 美しい穴にも感じていた そこへ引っ張ってくれたらいいのにと しかし一昨夜、満月の輪の中で光と影が引き合って 溶け合う部分が美しく やっぱり一つの球なんだと思った 同時に 光と影が口づけしているようで 月の恋を目にして 特別な気分だった 年を重ねて思うこと 経験というものは、 宇宙のように膨張し心の器を
違う。 これはあのタルトではない。 誰かと食べるあの感覚を知っているからだろうか。 喫茶店で一人で食べるケーキやタルトとも違う。 コーヒーを淹れて、 誰もいない一軒家で窓からさす昼間の光だけのリビングで食べた。 食べたのは至って普通の、FLOのタルト。 小さい頃に祖母とお出かけをして別れる前に、祖母は必ずお土産何がいいかなあと言って駅ナカの売店を一緒に見て回った。 私はタルト生地が大好きで、よくこのFLOのタルトをお土産に買ってもらっていた。 祖母と別れ、買い物袋とケー
「あのおじさんも絶対行くよ」 父が私の後ろに並ぶおじさんに声をかけて戻ってきて言う。地下鉄を降りて、久しぶりにバスに乗った。 行き先は、 商店街とも呼びにくい冷たい風の通るバス通り商店街に 暖かな明かりを灯す小さな居酒屋「炭火焼酒場 蔵」 席はカウンターのみ。 明るい素敵なご夫婦(ゆうさんとこずえさん)で回している、実家の行きつけのお店である。 暖簾をくぐると、すでに二客。 銭湯帰りのおじさんと仕事終わりのおじさん 皆、蔵での父の飲み仲間だった。 駅前のバス停から