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京都大阪てくてく記①

大学も4年生になると卒論を1本書けば良い。
だが、こうなると卒論以外の文章を書けなくなることにやっと気づいた。
常に「卒論の作業しなきゃ」というタスクに頭が支配されて毎日が8月30日なのである。やらなきゃ、と思うが、まあ明日があるし、という気持ちに勝てない。

しかも、時間があれば卒論に使ってしまい、ゼミでも卒論の報告をして。そもそも調査もしておらず「書く」段階にないからキーボードをぺちぺちする楽しみも得られない。
そんなわけで、気晴らしに旅行記でも書こうと思う。今年の4月上旬、京都と大阪に行ったときの話だ。気が向いたトピックだけを熱弁するシステムをとるから、京都と大阪の有益な観光情報は求めないでほしい。

・初手、乗り換えを間違える

某日、友人に青春18切符を分けてもらい、京都行の鈍行を調べ、るんるんで電車に飛び乗った私にその災難は降りかかった。100%人災です。人災って人妻みたいな字面してるな。

予定としては、横浜から電車に乗り、小田原で沼津行きに乗り換えるというものだった。鉄道ワカンナイ人にも分かるように伝えるなら、海沿いの直線最速コースで進むつもりだったのだ。
だが、何を血迷ったか、国府津で「沼津行き」の電車を見た私は「あ!ここで乗り換えられたんだ~!」と、向かいのホームに停車していた御殿場線の沼津行きに乗ってしまった。海沿い直線コースから、ぐるーり迂回コースへ進路変更である。急がば回れとはよくいうが、私は急ぐとテンパって必要ないのに回ったりする。私としては通常運転だが、長距離旅で国府津―沼津間の所要時間が30分延びるだけで、合計の所要時間はもっとかかる。これは精神的に来るものがあった。

そもそも、なぜ国府津から沼津までのルートが2つあるのか。
神奈川から静岡にまっすぐ行こうとすると箱根にぶち当たるのに気づくだろうか。箱根は普通の電車で登れるような山ではない。大げさ? 駅伝見たことないんですか? 
その邪魔な箱根山をぐるり、と上から回りこむ御殿場線に対し、東海道本線は「丹那トンネル」によって山の下のあたりをぶち抜いて直線ルートを突き進む。トンネル工事中の崩落事故とその犠牲者の話は義務教育で習うはずです。私は習いました。犠牲の上に成り立っているトンネルなのだ。

グーグルマップ

これは箱根周辺の地図である。箱根を中心にぐるりと鉄道が通っているのが分かるだろうか。上を走るのが御殿場線、下が東海道本線だ。最初から図を出せ、しかも見にくいという声が聞こえてくるが、面倒なのでGoogleマップをペタリしただけで許してね。

当然、私は海沿いのルートで行くつもりだった。車窓から、太陽の光をきらきらと反射させる海を見て寝ぼけた頭をスッキリさせ、本でも読みながら沼津へ……という予定だったのである。

しかも私は静岡県東部出身、つまり地元民なのだ。地元に帰る際にはいつも東海道本線を使っている。間違えるはずがない。いくら御殿場線に乗ったことがないとはいえ、沼津でキラキラJKをしていた時代には「静岡の雪国」こと御殿場出身の友人もたくさんいたわけで、冬に大雪で遅延した御殿場線から登校してくる彼らの姿も見ていた。御殿場線が国府津から出ていることだって知っていた。

だが、私は乗り間違えた

国府津から「沼津行き」とやらに乗り換えて十数分、あら、窓から広くて青い海が……見えない!!! のったりと広がる枯草色の田んぼ、ボコボコした山。窓の外を見つめる私の目に光は宿っていなかった。京都に着くのが1時間以上遅れることを知った私は「引き返そうかな」とか思い始めていた。

御殿場線に乗るのは初めてだし、いつもと違うルートもそれはそれで、と楽しもうとも思ったものの、特に何もなかった。寒い御殿場では桜もそこまで咲いておらず、緑すらなく、ただ淡々と茶色が続く車窓。とにかく私は絶望していて、箱根の北側をズンズン進む位置情報を地図アプリで眺めることしかできなかった。

沼津に着いて以降は順調だった。いや、正確には私が友人に送り付けていた旅の報告LINEを見る限り、どうやら愛知を出るあたりでも電車を間違えていたようだが、覚えていないあたりそこまでのロスを生まなかったのだろう。ちなみに京都から大阪に行く時にも「新快速」で30分で行けるはずが各駅停車に乗り1時間弱かかった。前言撤回しよう。全然順調じゃない。

さて、旅本編に入るまえに十分長くなってしまったので、いったんここで切ろうと思う。電車すらまともに乗れない女子大生の前途多難な一人旅、一体どうなっちゃうの~!?
続き(があれば)お楽しみに!気が向いたら更新します!ここまで読んでくれてありがとう!

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