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ものづくり探訪 #5 温暖な地域でワインは作れるのか?常滑ワイナリーを訪ねて

前回の常滑・やきもの散歩道を巡る探訪にお付き合いくださりありがとうございます。引続き、常滑の町よりお届けします。

国産ワインといえば、どこで作られているイメージがありますか?
山梨県や長野県?はたまた北海道?

私はというと、山間の涼しい場所でブドウを育て、ワインを醸造しているイメージが強かったですが・・・お察しのとおり、今回の舞台は愛知県。
県内では小牧、豊田に続いて3件目という、まだまだ珍しく、新しい 常滑ワイナリー ネイバーフッド に伺い、ワイン作りについてお話を聞いてきました。

まずはブドウ畑へ

ブドウ畑へと向かう道中、話題は なぜ常滑でワイン作りを始めたのか、ということに。

「目指しているのは“ワイナリーレストラン”で、ワインをひとつのコンテンツとして捉えている。ワインをカジュアルに、自由に楽しむアメリカ・オレゴンの景色やスタイルが理想」とのこと。

ワインそのものだけを追求しているのではなく、ワインを楽しむスタイルと場所を作りたい・・・こちらのビジョン、とても共感できました。
hanaikeも、花を通じたライフスタイルを提案したいと思っているからです。

ちなみに、常滑という場所を選んだのは オレゴンの風景をイメージできるロケーションだからだそう。

畑では、3種類のブドウを育てています。

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ピノ・ブラン

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ピノ・ノワール

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シャルドネ

5年目に突入した、ピノ・ブラン、4年目のピノ・ノワールとシャルドネ。
ブドウの木は植えてすぐに実はつかず、3年目くらいからようやく実がつき、収穫できるようになります。
ちょうど実が色づき始めたこちらは7月の様子。お盆が終わる8月中旬から9月初旬にかけて収穫し、醸造が始まります。

醸造所までは徒歩でも十分、車だとあっという間で、この距離感が良いのだそう。
というのも、果実は枝についたままで熟成させるのが理想。
完熟した果実は柔らかいので、運ぶときに傷がつきやすくなるのが悩みどころですが、距離が近ければそのリスクが軽減されます。
ギリギリまで熟成を進めることができるということですね。

常滑は、愛知県でも太平洋側に面している知多半島に位置しているので、気温・湿度ともに高め。
ワイン作りの環境として何か困ることはないのか?
そんな心配も、立派に育ったブドウの木たちを見ればすっかり解消されますね。
むしろ、台風が来る前の時期に収穫できるので、北海道や信州など冷涼な地域よりもメリットがあると実感されています。

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元々、観光用にイチゴ農園を経営されているだけあって、そのノウハウがブドウ作りにも活かされているそうです。

では、醸造所に戻ります。

醸造所で設備を拝見。

醸造所内に迎え入れていただくと、ひんやり、涼しく感じます。
内部の温度は、常に一定に保たれているとのこと。

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アーティストに依頼したという、インパクトある醸造所の外観。

赤ワインか、白ワインかによってワイン作りの過程は、異なりますが、簡単に説明すると、収穫したブドウから種や枝などを取り除いたあと、潰して果汁を絞り、タンクに移して発酵、熟成させます。
最後にろ過してボトルに詰め、ワインが出来上がります。

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収穫に使うカゴと、手前は圧搾機。

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ステンレスタンクを使用しています。

使用するブドウの品種、使う道具の種類や素材によって、様々な味わいのワインが生まれるわけですね。
さらにボトルに詰める前のタンク(樽)で熟成させたり、ボトルに入れた状態で熟成させたり、ワインによっていくつかのフェーズで熟成の過程を踏みます。

常滑ワイナリーは、フレッシュでライトな味わいと楽しみ方を提案しているので、熟成期間は3ヶ月と短めに設定しているそうです。

お待ちかね、試飲の時間です

常滑ワイナリーツアーには、試飲がついています。
ワイナリーと同じ敷地内にあるレストラン「サンセットウォーカーヒル」内のテイスティングバーでいただきます。

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右から順に ピノ・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール ロゼ、ピノ・ノワール。
ワインについては勉強中の身なので、詳しい味のコメントは控えますが、いずれも普段の食事にあわせたくなるような、辛口、軽めの味わいでした。
自宅でボトルを開けるときは、少し冷やして、温度と香りの変化を楽しむのも良さそうです。

こちらのレストランと醸造所は小高い丘の上にあり、デッキからは太平洋を一望できます。夕方にはサンセットが見られるとか。

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新しいものを作りながら、試しながら、特色を探しながらワイン作りに取り組む常滑ワイナリー。
将来の展望を伺うと、目指すところは「究極の常滑テロワール」

テロワールは、ブドウ・ワイン作りに違いや個性をもたらす土地、気候、人的要素のこと。常滑という土地を活かし、魅力を発信するビジネス展開を構想されているということですね。
やきものにも使われる常滑の土壌は、瓶に鉄分の色が現れるくらいミネラル豊富。常滑焼の瓶で熟成させ、常滑焼のワイングラスで楽しむ新しいワインも準備中だそうですよ。
これからの展開も見逃せません!

writer
太田成沙
hanaike director
いけばな小原流 家元教授

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いけばなでの体験をもとに、花の魅力を発信するプロジェクト「hanaike」を構想。家にいながら、四季を感じ「花のある暮らし」を楽しめるコンテンツや商品を提案するWEBサービスを立ち上げる。第一線で活躍するフラワーアーティストや華道家をクリエイターとして集め、オンラインだけでなくリアルな場でのワークショップや物販イベントなどを企画・運営している。


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